2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマナイズドがん転移モデルを用いたヒトがん転移機構の解明
Project/Area Number |
21240042
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
末水 洋志 Central Institute for Experimental Animals, バイオメディカル研究部, 部長 (40332209)
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Keywords | ヒューマナィズドマウス / ヒト化肝臓モデル / ガン転移 / 免疫不全マウス |
Research Abstract |
本研究課題「ヒューマナイズドがん転移モデルを用いたヒトがん転移機構の解明」の第一段階として1)基盤となるヒューマナイズドliver NOGマウスの作製と、2)それを用いた転移モデル系確立の可能性の2つのテーマについて検討を実施した。 1)ヒューマナイズドがん転移モデルの基盤となるヒューマナイズドliver NOGマウスの作製では、ヒト肝臓細胞の宿主としてuPA-NOGと薬剤誘導型肝傷害NOGマウスを用い、移植経路、宿主の週齢、移植細胞数、移植細胞のロットなどの各要因について評価を行った。脾臓から門脈経由で直接、宿主肝臓にヒト肝臓細胞を移植する非門部移植法(isp)と尾静脈にヒト肝臓細胞を移植する方法(iv)を比較したところ、ispでは移植後、ヒトアルブミン産生を認めたが、iv法では全く認められなかった。生後6,8,10週齢のuPA-NOGマウスを宿主としてヒト肝臓細胞の受容性を比較したところ、いずれのマウスでもヒトアルブミンの産生が認められ、週齢による差は認められなかった。また、移植細胞数(0.5-2.0x10^6 cells/匹)を同様に検討したが、大きな差は認められなかった。11ロットのヒト肝臓細胞について生着性を比較したところ、全く生着しないものが5ロット、置換率10%程度が3ロット、60%以上の高置換を示したものが3ロットであり、移植細胞のロット差が生着性を大きく左右する要因であることが判明した。 2)転移モデル系確立では、1)の検討の結果、ヒト肝臓細胞移植法としてiv法が利用できないことから、脾臓に2度の細胞移植術を施す系の確立を行った。すなわち、ヒト肝臓細胞移植をisp法で実施し後、再びisp法により脾臓からヒト大腸ガン細胞HCT-116を移植したのである。我々は宿主肝臓の同一切片上にヒト肝臓細胞とヒトがん細胞を検出することに成功した。このことは従来、異種微小環境で解析していた転移現象を同種、すなわち、よりヒトに近い環境で再現したものであり意義あるものと考える。
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Research Products
(7 results)