2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマナイズドがん転移モデルを用いたヒトがん転移機構の解明
Project/Area Number |
21240042
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
末水 洋志 財団法人実験動物中央研究所, バイオメディカル研究部, 部長 (40332209)
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Keywords | がん / 細胞・組織 / 転移モデル / ヒューマナイズド |
Research Abstract |
本研究課題「ヒューマナイズドがん転移モデルを用いたヒトがん転移機構の解明」の第二段階「肝生着促進因子、および、肝転移関連因子の同定」に向け、本年度は1)ヒューマナイズドliverマウスのヒト細胞による置換率の更なる向上と、2)ヒトがん細胞移植後の解析法の検討を実施した。 1)マウス肝傷害発症機序の違いによるがん細胞生着性への影響を考慮し、同時に開発を進めていたガンシクロビル投与により肝傷害を誘導するTK-NOGマウスが完成した。TK-NOGマウスに移植されたヒト凍結肝臓細胞はuPA-NOGマウス同様、宿主肝臓内で生着・増殖し、ヒト型遺伝子発現やヒト型薬物代謝機能を示すことを明らかにした(Hasegawa et al.2011)。両モデルとも、ヒトがん細胞の転移標的とする場合、置換率が高いことが望まれる。これまでの検討で「ヒト凍結肝臓細胞のロット差」は解凍時の細胞生存率の差によることを明らかにしており、この問題を克服するため、死細胞を効率よく除去する精製法を検討し、精製前生存率40%のヒト凍結肝臓細胞から生存率80%以上の細胞集団に精製する方法を確立することに成功した。また、「新鮮なヒト肝臓細胞の利用」については、単離条件の検討を実施し、定常的に生存率80%以上の細胞を調整する方法を確立した。上記細胞をuPA-NOG,TK-NOGマウスに移植し、ヒューマナイズドがん転移モデルを作製した。 2)前年度に確立した"ヒト-ヒト"同種移植モデルをin vivoイメージングにて解析を行うため、赤色蛍光タンパク発現腫瘍細胞株を樹立すると共に、近年、急速に発展した新しい分子プローブによるがん細胞イメージングを実施した。近赤外蛍光分子標識デオキシグルコースプローブを用いることにより、遺伝子導入することなくがん細胞の動態が観察できた。既存の細胞株をそのまま解析できる本技術の確立は、in vivoイメージングによるヒューマナイズドがん転移モデルの評価を可能にする意義あるものと考える。
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Research Products
(6 results)