2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代テクノロジーを駆使した疾患モデルマウス開発の高速化
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21240043
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
権藤 洋一 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, チームリーダー (40225678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 龍太郎 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (90392240)
村田 卓也 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (70305001)
牧野 茂 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (30462732)
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Keywords | マウス遺伝学 / ミュータジェネシス / ゲノム解析 / バイオインフォーマティクス / 量的遺伝 / 次世代シーケンシング / 疾患モデル / 突然変異解析 |
Research Abstract |
疾患モデルなど提供するため、外部研究者が要望する標的遺伝子に点突然変異をもつ生きたマウス系統を、理研変異マウスライブラリーから検出し提供している。この従来法は2002年9月公開以来、総数809の点突然変異を発見した。現在は安定して年間約90の点突然変異を発見していて、世界最大規模最高速度の、逆遺伝学的点突然変異マウス提供システムである。1変異発見費用も10万円と極めて安い。しかし理研変異マウスライブラリーには、コーディング変異だけでも百万個ある。個々人のゲノム情報に基づくパーソナルメディスン/日々の健康管理を目指す21世紀ライフサイエンスに必須なモデル化加速のため、飛躍的な変異発見高速化を本研究で開始した。3年目が完了する今現在、実質1000倍以上の高速化に成功した。その第一の鍵は、次世代シーケンシングテクノロジーを、全マウスゲノムではなく、1~2%を占める全コーディングエキソン配列のみ濃縮精製して配列決定できるようになったことである。2009年にまず4.7Mbのゲノム10領域のコーディング配列濃縮を試み成功した。そこで2010年度には全コーディングエキソン(exome)49.6Mbを濃縮するシステムを共同開発した。その結果、2012年2月現在で、コーディング変異に特化した1444の点突然変異をこの3年間の本研究ですでに発見した。最新の実験では1回8ゲノム解析するのに2ヶ月要し728変異発見できた。年間フル稼働すれば4368変異発見できる計算で、従来法の48.5倍のペースである。1変異発見する費用も4400円と、従来法より費用対効果を22.7倍高めた。すなわち、総合的に変異発見効率を1100倍以上高めたことになる。予想を遥かに超えた大成果といって申し分ない結果である。この高速化を基盤に多因子疾患やヒト体質気質を解析するための遺伝子間相互作用モデル開発も提案し注目されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、従来法で90変異/年発見できているモデルマウス開発を、100倍以上あげたいとした。3年目の現在、フル稼働すれば4,368変異/年発見できるシステム構築に成功し、費用対効果も10万円/変異から4,400円/変異と20倍以上高めた。当初の計画を遥かに凌駕する高速な変異モデルマウス開発と提供がすでに達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
まずゲノム全体に誘発された新規の変異が1系統平均70個発見できる。そういった系統を総数13,000系統理研変異マウスライブラリーとして、今後、提供し、70変異が互いに相互作用しながらもたらす疾患モデルマウス開発を提唱している。すでに試用ユーザーが増えている。また、次世代シーケンシングの生データは、解析ソフトウェア開発に必須ながら、ほとんどがヒト解析に利用されているため、個人情報保護などの理由も含めほとんど公開されない。現在の解析ソフトウェアには多々問題があり、理研からマウスで得られた次世代シーケンシング生データを公開し、ソフトウェア開発のオープンコンペ開催を模索している。成功すれば、ヒトゲノム解析にも応用でき、さらに、理研変異マウスライブラリーが有する点突然変異のカタログ化もさらに高速化される。
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