2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高速近赤外差分分光スペクトル解析による非観血的血中成分計測法の開発研究
Project/Area Number |
21240047
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山越 憲一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40014310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山越 健弘 金沢大学, 自然科学研究科, 特任准教授 (70444205)
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
野川 雅道 金沢大学, 機械工学系, 助教 (40292445)
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Keywords | 血中成分 / 非侵襲計測 / 近赤外 / 光吸収 / 血糖値 / 血中アルコール / 光計測 / 光電脈波 |
Research Abstract |
本研究は、多波長で同時計測されたPPG(photoplethysmografn: 光電容積脈波)を用いて、各種の血中成分の非侵襲計測法を開発することを最終目標とする。この最終目標を達成するために、以下の3つの小目的を置いた:(1)多波長でのPPGの光学的な発生機序を説明するモデルを構築し、モデルから得られた知見を、(2)以下の血中成分計測システムに導入する。すなわち,波長2.2μm付近までのレーザもしくはLEDを光源とした多波長PPG計測システムを構築し、血糖値、ヘマトクリット、血漿アルブミン、ヘモグロビンAlc(HbAlc),糖化アルブミン(GA)、コレステロール(CHL)、血中尿素窒素(BUN)、血中エタノールなどを対象量として、これらの非侵襲計測を試みる。さらに,(3)本計測原理に基づく実用化を踏まえて、より少ない波長で計測を行う手法を開発・提案し、実用システム開発の礎を確立する。このうち、上記(1)については昨年度までの検討によって、血中成分物質の計測感度に関するモデルを得てきた。 以上を踏まえて本年度は、研究目的の実現のために実験的な検討を進めた。前記(2)、(3)について、実用化をふまえて波長900nm~1700nmの領域から選定された4ないし5波長程度で血中成分物質をin vivoで計測するための多波長PPG計測装置の改良を行い、ヒトを対象としたin vivo計測実験を行った。その結果、4波長を用いた指尖部からの光計測によって、被験者数は未だ少ないものの、血糖値および血中アルコール濃度を計測可能であった。また、血糖値や血中アルコール濃度以外の血中成分を計測するためには、1700nm以遠の波長でPPG計測を行うことが必要であるが、この領域でのPPG計測は前人未踏の挑戦的課題であるが、システム試作に向けて現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新たな非侵襲in vivo計測による血中成分計測システムの開発を目的としている。これまでに本研究では、本手法による血中成分計測における計測感度を確定させることができており、これは、国内外において類似研究がない大きな成果である。また、本年度は4波長を用いた光計測によって、血糖値および血中アルコール濃度の計測が可能であることを示した。以上より、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究は、これまでに計測可能であった血糖値および血中アルコール濃度の計測精度をさらに向上させるために、光電脈波計測システムのS/Nの向上を行う。また、より多くの血中成分計測の可能性を示すため、これまで困難で前例がない波長1700nm以遠の波長での脈波計測を試みる。この領域での計測にはより高感度の計測システムが必要になると考えられ、光源や受光器の構成について検討する。この挑戦的課題が成功すれば世界初の成果で有り,本法に基づく非観血的血中成分計測の実用化への道が大きく拓けると思われる。
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