2011 Fiscal Year Annual Research Report
「見る」「聴く」「話す」のを助ける携帯電話インタフェースの試作と評価
Project/Area Number |
21240058
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊福部 達 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (70002102)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 通孝 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (40156716)
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50285079)
田中 敏明 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (40248670)
中野 聡子 広島大学, アクセシビリティーセンター, 特任講師 (20359665)
|
Keywords | バリアフリー / 携帯電話 / 視覚支援 / 聴覚支援 / 発話支援 |
Research Abstract |
本課題の目的は「聴く」,「話す」,「見る」を助ける携帯電話インタフェースを開発するところにある。本来、携帯電話は聴覚と視覚のチャンネルのみを介した通信方式であるが、それに加えて触覚チャンネルをインタラクティブに利用することができれば、携帯電話を視覚、聴覚、発話に障害のある人たちを支援するツールに活かせるようになる。本課題では、代表者が40数年にわたり取り組んできた「聴く」,「話す」,「見る」を助ける福祉工学の研究をベースに、触覚ディスプレイと触覚センサを一体化した携帯電話インタフェースを開発し、それを視・聴覚・発話の障害支援技術に活かすことを目標とする。具体的には、音声や警報音などの聴覚情報、画像や文字情報などの視覚情報、および触覚センサで伝えた発話情報を受け手の触覚ディスプレイに表示する携帯電話インタフェースを試作し、その有用性を明らかにする。 平成22~23年度前期では、試作器をベースに盲聾者のための非文字・非音声によるコミュニケーション支援としてどこまで有用かを評価し、通訳支援者が離れていても、盲聾者に危険を知らせたり、逆に盲ろう者が自分の要求を通訳支援者に伝えたりする上で有用であることを確かめた。また、視覚障害者に方向情報(東西南北)を振動パターンの上下左右の動きに変換して提示することで自分の向いている方向を判別させ得ること、聴覚障害者に警報音の高さと強さをそれぞれ振動パターンの上下と左右に割り振ることで警報音の種類(乗用車と救急車の音)を判別させ得ることが分かった。 平成23年度後期(最終年度)は、以上の評価を踏まえて、触覚ディスプレイと触覚センサが一体となり、かつ10Vという低電圧で駆動できる圧電素子を開発((株)京セラの協力)し、それを利用した振動子マトリクス(2.5ミリおきに配列した6行×6列)を試作した。また、携帯電話の大きさ(ただし、厚さは2cm)の手の平サイズのインタフェース・デバイスを10台試作し、それらを製品化することができた。さらに、簡易な予備評価から、上記の視・聴覚障害者へ適用した場合の有用性を再確認した((株)KDDIの協力)。 本研究課題で得られた成果物は、視・聴覚障害者だけでなく、文字や音声による情報の授受が困難になった認知症や失語症の人たちにも利用でき、さらに健常者でも視覚や聴覚が束縛されているような緊急時や会議の最中などにも活用できることから、その応用範囲は極めて広いことが理解され始め海外からの受注((株)韓国三星電子)も現れ始めた。また、本成果物は身体運動と体性感覚を介した非言語コミュニケーションに関する認知科学・脳科学にも多くの新知見をもたらすツールとなる。 (連携研究者)東京大学 先端科学技術研究センター 特任研究員 大河内直之 視覚支援技術開発
|