2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの新石器時代遺跡出土編組製品等素材の考古植物学研究拠点の形成と展開
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21240071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 三男 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (80111483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 浩司 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00302084)
大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
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Keywords | 編組製品 / 素材可能植物 / 遺跡出土編組製品 / 編組製品素材植物データベース |
Research Abstract |
本研究は、現在の考古植物学研究において最も欠けている「編組製品等」の素材研究に重点を置き、編組製品の素材となる可能性のある現生植物種の標本とその形態・組織解析用試料、DNA解析用試料の蒐集保存とともにその画像データベースの作成、書籍の手段も含めた公開、を行い、それらを活用して中国および日本の新石器時代遺跡出土の編組製晶等の素材同定を行い、考古学、民俗学研究者との協働の下、東アジアの編組製品等の植物利用文化の起源、展開、伝播を解明しようとするものである。そのために今年度は前年度に引き続き次の事業を行った。 1)編組製品素材可能植物のリストに沿って、本科研費に依る出張とその他の機会も活用して東北地方、関東地方、四国、九州地方などで素材可能植物の蒐集に努めた。 2)これらの素材可能植物の切片を作成し、観察を行い、顕微鏡写真を撮影して画像データベースの準備を進め、一部についてはページの試作を行った。 3)青森県三内丸山遺跡、福井県鳥浜貝塚遺跡、新潟県野地遺跡、鳥取県高住井戸添遺跡などから出土した編組製品及び縄について既存資料の再検討と新規の資料採取を行い,後者については組織切片作成に取りかかっている。 4)佐賀市の東名遺跡の縄文時代早期の篭編みもの及び縄等について素材の同定結果を取りまとめ、平成23年8月に国際シンポジウムで研究発表を行った。 5)東名遺跡籠編物の素材同定結果に基づいて採集し、調整したムクロジ、イヌビワのへぎ材、ツヅラフジの蔓を用い、籠編みもの製作者の協力によって、遺跡出土籠編物の復元実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末の震災により昨年度及び今年度前半に予定していた事業の展開が出来ず、後期にずれ込んだため一部に予定のペースが遅れている部分が出た。それはデータベースの作成であり、これについてはその後はデータの蓄積、公開準備も進んでいることから来年度中にはなんとか遅れを取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
・遺跡出土編組製品の再調査については奈良県の唐古・鍵遺跡など既に想定している遺跡出土品については次年度前半で調査を終える予定である。 ・編組製品素材可能植物の採集については「取りこぼし」が若干あるため次年度は補足的な蒐集を行い、切片作成を進める。 ・素材可能植物データベースについてはまとまりのある分類群から作成をすすめており、次年度には公開を始められる予定である(まずはシダ植物から行う)。
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