2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本産樹木年輪による炭素14年代の高精度較正曲線の作成
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21240072
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光谷 拓実 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (90099961)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 炭素14年代 / 年輪年代 / 較正年代 / AMS / 樹木年輪 / 日本列島 / 東アジア |
Research Abstract |
樹木年輪に含まれるセルロースの酸素安定同位体の変動パターンによる,新しい年輪年代法によって年代の決定した柳本大塚古墳出土木棺と,年輪幅の変動パターンがそれと同調する桜井茶臼山古墳出土木棺(いずれも柱状試料)の炭素14年代測定を完了した。5年輪ずつ測定された両者の変動パターンはほぼ一致し,日本版較正曲線の基礎データとすることができた。しかしながら既に測定されている箱根埋没樹の変動パターンとは必ずしも一致せず,この差が日本列島内における地域差を反映したものかはさらに検討を要する結果となった。 長野県宮田村で得られたスギ材は10年前に測定されていたが,改めて5年輪ずつの炭素14年代測定を実施したところ,5世紀台に較正曲線IntCalからの有意なずれが認められた。10年前と異なる測定結果となったが,当時の測定精度・確度が十分でなかった可能性が指摘できる。さらに,6世紀前半とされた韓半島の試料の較正年代が,IntCalと照合するよりも宮田村の結果と照合した方が整合的なことが判明した。1~2世紀の韓半島出土のノグルミ材が日本産樹木と必ずしも合致しないことから,当該期は日本列島(箱根,長野)と漢半島南部とで地域差があるものと認識していたが,5世紀についてはそれが必ずしも当てはまらずむしろ東アジア地域全体で同様な挙動を示していたことが推察される。 日本産樹木による較正曲線の整備にあたっては,時期・地域ごとの大気中の炭素14濃度の挙動をより精密に検討する必要があり,対象を東アジア地域に拡充して更なるデータの蓄積が求められる。その際,酸素安定同位体による新しい年輪年代法の有用性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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