2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工林における間伐が土壌有機物の動態および森林による炭素吸収に及ぼす影響
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21241002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
東 照雄 筑波大学, 副学長 (20094170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70211373)
上條 隆志 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10301079)
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Keywords | 人工林の間伐 / 土壌有機物 / 土壌呼吸量 / 森林の炭素吸収 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
現在、農林水産省は、わが国の森林による炭素吸収に基づく二酸化炭素排出量削減を促進するため、管理が行き届かない人工林の間伐を実施している。しかし、間伐により、主に地温の上昇などにより、土壌呼吸量の増加が懸念されている。本年度は、過年度と8月までに得られたカラマツ・スギ・ヒノキ人工林での土壌呼吸量・地温測定と毎木調査などの炭素貯留量等の測定から、各人工林での間伐前の炭素収支を求めた。その結果、研究対象とした筑波大学川上演習林のカラマツ林、福島県いわき市湯の岳のスギ林およびヒノキ林では、1ヘクタール・1年間の人工林全体の炭素収支の平均値として、45年生のカラマツ林では+0.55トン炭素、25年生のヒノキおよびスギでは、それぞれ、+2.05トンおよび+2.45トンと算出された。 研究計画に従って、2011年9月にカラマツ林、10月にスギ林およびヒノキ林の間伐を行った(カラマツ林では材積の40%、他の2つの人工林では約25%)。間伐に当たり、気象条件の年々変動を考慮して、研究対象コドラートを2つの区画に分け、間伐区と対照区を設けた。なお、間伐材は、幹・枝と葉部を分けて現場に野積みした。そして、間伐後も、3つの人工林において、間伐前と同様に、定点において土壌呼吸量・地温の測定などを行った。ただし、間伐時期が遅かったため、特にカラマツ林では気温の低下が間伐後すぐに始まり、両区画での顕著な土壌呼吸量の差異は出ていない。しかしながら、ヒノキ・スギ林では、地温の上昇とともに、明らかに間伐区で土壌呼吸量の上昇が認められた。来年度も継続して、土壌呼吸量・地温などの測定を継続して行い、この傾向の推移を観測する予定である。今年度予定をしていた土壌有機物のNMR測定であるが、これについては、間伐後、まだ時間の経過が浅いことから(数か月で冬季となった)、次年度に行うほうがより明確な成果が得られると判断して、土壌表面の堆積有機物層の変化測定も合わせてこれを行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画通り、研究対象地のカラマツ・スギ・ヒノキ人工林において間伐を行い、その後の土壌呼吸量・地温の測定が順調に経過していることから、(2)の自己評価をした。その際、間伐前の各人工林での炭素収支を明らかにできたことも大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、間伐後の土壌呼吸量・地温の測定を、対照区と比較しながら継続し、間伐後の年間の炭素収支を算出し、間伐前と比較することとしている。なお、土壌有機物の変化については、その存在量、化学構造(NMR測定)、および土壌表面の堆積有機物層について、さらに研究を推進する予定である。間伐後、数年間が、炭素収支として変動すると考えられるので、フィールドにおける確実な研究の実行を目指している。
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Research Products
(4 results)