2010 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼において漸増する難分解性溶存有機物の特性・起源と物質収支
Project/Area Number |
21241008
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今井 章雄 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 室長 (40203286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 主任研究員 (20391104)
高津 文人 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, NIES特別研究員 (30514327)
川崎 伸之 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, NIESポスドクフェロー (00446387)
佐藤 貴之 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, NIESポスドクフェロー (10552086)
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Keywords | 溶存有機物 / 難分解性溶存有機物 / 湖沼 / フミン物質 / 親水性酸 / 底泥間隙水 / 同位体比 / 三次元流動モデル |
Research Abstract |
霞ヶ浦に流入する主要4河川,桜川,恋瀬川,花室川および小野川において,2005~2009年に採取した保存されていた水サンプル中の溶存糖濃度・組成を測定・解析した。河川水で検出された単糖類は霞ケ浦湖水と同じく7種類であった(フコース,ラムノース,アラビノース,ガラクトース,グルコースおよびキシロース)。河川水の溶存糖(DCHO)濃度は0.48~3.5μMの範囲であり,4月~6月以外は霞ケ浦湖水のDCHO濃度よりも低かった。DCHOの収率(有機炭素としてDOMに占めるDCHO割合)は1.5%~7.6%で変動しており,冬季と春季以外は湖水の収率よりも低い値を示した。河川水のDCHO組成は,キシロース構成割合が20%以下と湖水よりも低く,グルコースの構成割合が13~41%と大きく変動する特徴を示した。グルコース/キシロース比は0.72~3.8の範囲で,湖水の値よりも高く(より易分解性),特に冬季に極めて顕著な上昇を示した。まとめると,河川水はDCHO濃度や収率がともに霞ケ浦湖水よりも低く,単糖組成も湖水とは大きく異なっていたため,河川水は霞ケ浦湖水のDCHOの動態に顕著な影響を及ぼしていないと示唆された。 霞ケ浦湖心において,2005~2007年に採取した底泥間隙水中の溶存糖(DCHO)の濃度・組成を測定・解析した。底泥間隙水中のDCHO濃度は,霞ケ浦湖水や流入河川水の約半分から2倍に相当する濃度まで非常に幅が広く(1.4~13μM),さらに,鉛直プロフィールが経時的に大きく変化していた。DCHO濃度は表層0~2cmと8cm以深で特に高い傾向が示された。季節変動が激しかったのは2~8cmの層であった。DChHOの収率は2006年5月までとそれ以降では著しく異なっていた。2006年5月以前は全層で10~20%と極めて高かったが,それ以降は50~80%低下した。2006年5月以降,底泥において劇的な変化が起きたと推測された。
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Research Products
(12 results)