Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (20391104)
高津 文人 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (30514327)
佐藤 貴之 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 特別研究員 (10552086)
川崎 伸之 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 特別研究員 (00446387)
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Research Abstract |
霞ヶ浦のろ過湖水を用いて,溶存有機物(DOM)の分解培養実験を実施した。バクテリア2次生産速度,DOM濃度,アミノ酸濃度・組成,糖類組成・濃度等を培養時間に伴って測定・分析した。結果,培養初期数日間でのバクテリア2次生産はとても高く(20-35μC/L/day),霞ヶ浦でのバクテリア活性の高さが示された。バクテリアのバイオマーカーであるD-アミノ酸を用いて霞ヶ浦DOMプールへのバクテリア由来DOMの寄与を算定した。湖水DOMの40-50%はバクテリア由来であり,海洋DOMの算定値(20-30%)よりも顕著に高いことがわかった。この結果は,陸水DOMプールに対するバクテリア寄与が算定された初めてのケースであり,陸水環境における炭素や窒素循環に対して,バクテリアは想定されていたよりもはるかに重要な役割を担っているを示している。加えて,近年多くの湖沼で報告されているDOM(あるいは難分解性DOM)濃度の上昇もバクテリア由来DOMの増大に起因していると推察された。 霞ヶ浦5地点において,3次元流動モデル(100m×100mメッシュ,鉛直5層)を用いて,2001年~2007年において,湖水中の難分解性フミン物質(AHS)濃度の長期シミュレーションを実施した。結果として,相対誤差は12.2%(n=420)とモデル予測値は実測値に良好に対応した。起源別に見ると,霞ヶ浦湖心では難分解性AHSの80%以上は河川水由来,下水処理水由来は5%以下,底泥溶出由来は10%~20%程度であることがわかった。湖面への直接降雨の影響は無視できた。霞ヶ浦湖盆域において底泥溶出由来の難分解性AHSは2005年まで減少傾向にあったが,2006年に急激に増加に転じた。この変化は,2006年以降に観察されたアオコ発生と関係していると推察された。
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