2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ構造中の集団核スピンエンタングルメントを用いた集団量子情報処理
Project/Area Number |
21241024
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遊佐 剛 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40393813)
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Keywords | 量子情報 / ナノ構造 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
本研究の目的はナノ構造に存在する核スピンや電子スピン、励起子などの集団量子に対し、量子力学的な測定を行い、通常の量子ビットで用いられている2準位系とは異なる集団性を生かした量子情報処理の実現を目指すものである。 本研究では大きく分けて三つの研究を進めた。まず核スピン量子ビットを集積した際に必要となる核スピンの局所検出法の確立である。機械的に試料を走査せずに局所的な核スピン情報を取得するプロトコルについて提案し、数値計算によって実際に核スピン状態がどのように空間的に時間発展するか検証し、ナノスケール磁気共鳴イメージング法として論文や特許にまとめた。 次に量子ホール状態を量子情報処理に応用するために必要な知見を得る新たな手法として、光学的手法による量子ホール状態の実空間観察を行った。これまで整数量子ホール効果については、走査型プローブ顕微鏡などを利用して実空間観察が行われてきたが、本研究で初めて分数量子ホール状態の実空間観察を実現でき、物性物理の分野でも重要な成果が得られた。 三つ目は、量子ホール状態の端状態に表れるエッジチャネルを、多体系のエンタングルチャネルとして利用し、量子エネルギーテレポーテーション(QET)と呼ばれる新たな量子プロトコルの実証を目指した研究がある。これまでQETは数学的に提案されていたが、量子ホール端状態を用いて実験系を提案し、実際に取得可能なエネルギーについて求めた。 特に平成23年度では、特に分数量子ホール状態の実空間観察と、量子エネルギーテレポーテーションの検証を中心に進めまとまった成果が得られた。
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