2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21241031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅沼 浩之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20282577)
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Keywords | DNA / ナノマシン / アゾベンゼン / 光応答性 / DNAエンザイム |
Research Abstract |
本研究者はアゾベンゼンを導入した光応答性DNAを利用することで、廃棄物を全く生成しない光駆動型DNA分子マシンの構築に成功している。本年度は、前年度の成果に基づき、二重鎖形成と解離の完全制御を可能にするInterstrand-wedge motif(アゾベンゼン残基と塩基対が交互に並ぶモチーフ)を組み込んだDNAエンザイム(RNase)を設計・合成し、RNA切断の光スイッチングを可能にする実用的なDNA分子マシンの構築を目指した。ここでは、Joyceらが開発した10-23型DNAエンザイムを使用し、慢性骨髄性白血病遺伝子に関連するBCR-ABLをターゲットとした。DNAエンザイムに光応答性を付与するため、まずはDNAエンザイムの両末端に相補的なオーバーハングを導入したヘアピン型DNAエンザイムを設計し、そのオーバーハング部位にアゾベンゼンを多数導入した。この場合、trans体(可視光照射下)ではオーバーハング部位が二重鎖を形成するため活性構造を維持することが出来ずRNA切断活性はoffになると予想される。一方cis体(UV光照射下)ではオーバーハング部位が解離してDNAエンザイムが再び活性構造をとることで、RNA切断活性の回復が期待できる。この設計に基づいて実際にヘアピン型光応答性DNAエンザイムを合成したところ、設計通りtrans体で活性がoff、cis体で活性がonとなった。On状態とoff状態での速度定数の比は40倍に達し、光照射によりRNA切断をほぼ完全に光制御することに成功した。さらにUV光と可視光を交互に照射することで、RNA切断のon-off交互スイッチングも実現した。また細胞応用を見据え、可視光照射のみで可逆的にtrans-cis異性化が可能な新規アゾベンゼンの合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時に目的とした、1)二重鎖形成と解離の完全光制御、2)遺伝子発現の光制御が可能な光応答性DNAエンザイムの構築、3)可視光応答型アゾベンゼンの合成 全てに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の目的をほぼ達成したので、細胞応用が可能な実用的な光駆動型分子マシンの設計に向け、基礎的な知見を得る。
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Research Products
(59 results)