Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中岡 英隆 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 教授 (20516025)
室町 幸雄 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 教授 (70514719)
渡辺 隆裕 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 教授 (70220895)
飯星 博邦 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 教授 (90381441)
芝田 隆志 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 准教授 (70372597)
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Research Abstract |
木島は,Wiener-Chaos展開を用いたデリバティブ価格の近似手法を提案し,広域で高精度の結果が得られることを示した.また,取引コストを考慮した均衡価格について考察した.さらに,環境クズネッツ曲線の形成をリアルオプションアプローチから説明した.中岡は,不確実性下のキャッシュフローとマネジメント能力を状態変数として企業の価値創造力をモデル化し,市場データに基づくM&Aの評価,東日本大震災の影響,日本の優秀企業の価値創造力を実証分析した.芝田は,企業経営者が所有者よりも情報優位となる非対称性を仮定し,経営者による投資戦略と経営努力水準とのトレードオフに関するメカニズムを明らかにした.また,企業が銀行よりも情報優位となる非対称性がクレジットスプレッドを増大させることを定性的・定量的に示した.田中は,経済状態を表す変数を規定するパラメータがレジームスイッチする状況における意思決定問題を無限満期の枠組みで考察し,連立2階常微分方程式による解法を提示した.また,初到達時刻に関する期待値計算の結果を得た.小方は,裾が重い非対称分布のパラメータを従属過程の下で推定するため,エンピリカルプロセスの漸近的性質を明らかにした. 室町・山下は,待ち行列ネットワークを取り入れた構造的なモデルの研究をサーベイし,相互依存性のある信用リスク研究の今後の方向性を検討した.また,室町は,市場データから推定される大損害リスクを織り込みうるリスク計測モデルを提案した. 渡邊は,リアルオプションとゲーム理論を組み合わせ,不確実性下の投資競争における情報の戦略的顕示「シグナリング」の効果について研究した.飯星は,マクロ動学モデルに金融・銀行部門の情報非対称性のエージェンシー・コストを取り込み,リーマンショックが景気後退に及ぼす効果を推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すべての研究が概ね順調に進捗しているが,特に,海外で開催された国際学会にて研究報告を積極的に行うことにより,海外の様々な研究者と意見交換が可能となったため,当初の計画以上に進展した部分も見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間も後半に入ったので,それぞれの研究をさらに推し進めるとともに,当初の目的の達成を意識するように心掛ける,例えば,室町・山下は,今後はポートフォリオの信用リスクを評価するためのモデル化およびその解析方法を検討する.渡辺は,機関投資家の戦略的行動およびその情報に対する効果に関する研究は十分に進展してきたので,今後はそれらの成果を織り込んだ制度設計(メカニズムデザイン)に関する研究を推進させる.
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