2009 Fiscal Year Annual Research Report
物質文化を通じた新たなアフリカ像の構築―国際協働による在来知と外来知の体系的検証
Project/Area Number |
21242034
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 National Museum of Ethnology, 文化資源研究センター, 教授 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 和代 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60073285)
亀井 哲也 愛知県立大学, 日本文化学部, 非常勤講師 (60468238)
川口 幸也 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 准教授 (30370141)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / 物質文化 / アフリカ / 文化接触 / 博物館 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本研究は、アフリカにおける物質文化の比較研究を通じてアフリカと外部世界の交渉を明らかにし、これまでのアフリカ認識とは異なる新たなアフリカ像の構築を進めようとするものである。 計画の初年度に当たる本年度は、研究代表者・研究分担者・連携研究者がそれぞれ担当国に赴き、現地研究拠点においてまず研究体制を整備したうえで、それぞれの地域で指標となる物質文化を抽出して、それについての在来知と外来知の複合の全体的把握に努めた。 代表者の吉田憲司は、ザンビア、マラウイの両国にまたがるチェワ、ンゴニ社会における生業・儀礼活動にかかわる物質文化の比較研究を進めた。分担研究者の井関和代は、エジプト、エチオピアの両国において機織りに焦点をあて、その技術の比較調査をおこなった。同じく分担研究者・亀井哲也は、南アフリカのンデベレ社会とジンバブウェのンデベレ社会における、儀礼をめぐる物質文化の比較調査をおこなった。連携研究者の栗田和明は、タンザニア国内の各地で、物質文化の比較とその流通経路についての追跡を実施した。連携研究者の飯田卓は、マダガスカルの北西海岸部と南西海岸部においてカヌーの建造技術に関する比較調査をおこなった。さらに分担研究者の川口幸也は、ナイジェリア都市部における伝統的物質文化と現代生活の中の物質文化の連続性と断絶についての調査を実施した。 以上のような調査により、対象とした諸地域における物質文化の歴史的展開について基礎的なデータを蓄積することができた。また、吉田と亀井は、イギリス、オーストリア、アメリカ合衆国、カナダにおいて、欧米世界とアフリカの接触の初期に収集された歴史的資料の調査を実施し、上で述べたアフリカでの知見の裏付けの作業を進めた。 一連の作業により、4年間の計画で物質文化を通じた新たなアフリカ像の構築を進めるという本計画の研究体制が整備され、また基礎的な情報も蓄積し得た。計画の基礎を確立できたと考えている。
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