2010 Fiscal Year Annual Research Report
法律学と精神医学の共働的アプローチによる非行問題への対処
Project/Area Number |
21243006
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
丸山 雅夫 南山大学, 法務研究科, 教授 (50140538)
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Keywords | 少年法 / 少年処遇 / 精神医療 / 刑事政策 / 少年法制 / 国際情報交換 / 中華民国 |
Research Abstract |
2010年度は、3年間の研究計画の中間段階に当たる年度であり、わが国の少年法を中心とした少年処遇の実際に関する知見を深めるとともに、わが国の少年処遇の範となりうる中華民国の精神医療関連施設・少年法関連施設の実地調査(比較法的研究)に重点を置いて研究を行った。前者については、研究会形式で研究を進め、研究代表者・連携研究者をはじめとする研究者のほか、特に少年処遇の現場に詳しい方をゲスト・スピーカーとしてお願いし、少年処遇の実態を解明することに努めた。また、精神医学との共働的アプローチの観点から、精神医療研究会との連携のもとに、1月に1回程度の割合で研究会を開催した(毎回約30人が出席)。さらに、処遇現場の実情の一端を知るために、若干の国内の施設参観を行った。 精神医療研究会との共同で1週間にわたって実施した中華民国での実態調査では、少年法の関連施設として、法務省矯正司、高雄少年法院、明陽中学、誠正中学、司法院を訪問し、処遇現場の実情を見学するとともに、裁判官、研究者、処遇関係者をはじめとする多くの専門家と活発な意見交換をすることができた。特に、教育機関であることを前面に打ち出している少年刑務所(明陽中学)と少年院(誠正中学)のあり方・処遇の実際は、わが国における今後の少年処遇の議論にも寄与するところが大きいものとの印象を持ったところである。この実地調査については、『2010年度台湾調査報告』として、2011年2月に公刊されている。 以上のように、個々の少年処遇については、2年間の研究を通じて、すでに相当の知見が蓄積されている。他方、精神障害を含めた少年処遇全体を統合する視点からの研究は不十分であり、今後の課題となっている。また、処遇の適切な個別化(どのような少年にどのような処遇が最適か)の面についても、現時点では必ずしも十分でなく、今後の課題として残されている。
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Research Products
(9 results)