2011 Fiscal Year Annual Research Report
新型核スピンメーザーの電気双極子モーメント測定への適用
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21244029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 秀樹 理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, 副チームリーダー (50281118)
古川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30435680)
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Keywords | 原子核実験 / 核スピンメーザー / 精密周波数計測 / 原子EDM / CP非保存 |
Research Abstract |
スピンメーザーはスピン歳差を無制限の長さの時間維持する機構である。本研究では、低磁場で発振が可能な新しいタイプのスピンメーザーである光検出・外部フィードバック型核スピンメーザーを開発し、これを核スピンの歳差計測が本質的な役割を果たす^<129>Xe原子の永久電気双極子モーメント(EDM)の高感度探索に応用することを目指している。 平成23年度はメーザーセルの作製について、ターボ分子ポンプを強化して焼き出し中の真空度の改善を行うとともに、セル内壁の洗浄およびコーティングの方法を系統的に変えて多数のセルを作成し、偏極度及び緩和時間に対する最適条件を明らかにした。これによって恒常的に歳差信号の十分大きいセルを利用することが可能となった。また、^<129>Xe核スピン偏極の源であるRb原子のスピン偏極度を、円偏光/直線偏光レーザー誘起蛍光強度比の測定から求める実験を行い、レーザー強度の増大によって偏極度のさらなる増強の余地があることを明らかにした。今後テーパーアンプの増強等によりこれを進める。高耐圧リレーを用いた電場印加・制御システムを構築しテストを行って、EDM測定セットアップの自動作動を実現した。 スピン偏極Rb原子を用いた精密マグネトメトリのため、レーザー光に振幅変調をかけて、ストロボスコピックなNMOR観測から有限磁場でのNMOR測定を行う振幅変調NMOR装置を構築した。測定の結果、変調NMOR観測によって有限磁場30mGにおいて5mG/Hz^<1/2>の精度での磁場計測を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度交付申請書に記載した目標の主要点であるセル内壁の処理法の系統的検討、セルベーキングのための真空ポンプ増強、電場印加・制御し捨てもの構築とテスト、光ポンピング用レーザーの増強に関する検討とメーザー信号の恒常的増大、変調NMORを用いた精密マグネトメトリについて当おおむね所期の目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、発振周波数の温度感受性が小さくなると期待される低いメーザー動作温度において十分な歳差シグナルが得られるよう、さらに光ポンピング用レーザーの強度を強化すること、磁気シールド内への新規ソレノイドコイルの設計・設置等によって周波数安定度をさらに高め、本スピンメーザーのEDM測定への応用の実現を目指す。
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