2009 Fiscal Year Annual Research Report
マクロコヒーラント増幅機構と二光子超放射過程の実験的研究
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21244032
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笹尾 登 Okayama University, 教育研究プログラム戦略本部・極限量子研究コア, 教授 (10115850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 創 京都大学, 理学研究科, 助教 (40419445)
若林 知成 近畿大学, 理工学部, 准教授 (30273428)
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Keywords | マクロコヒーランス / マトリックス / 超放射 / ニュートリノ質量分光 / フラーレン |
Research Abstract |
i)中性バリウム(Ba)は、基底状態(1SO)近辺にラムダ型のエネルギー準位を有する。中間状態(1P1)と基底状態のエネルギー差は波長に換算し554nm、終状態(1D2)とのそれは1500nmである。D状態は寿命が長く、準安定である。このため、二光子対超放射の実験的検証に適していると考えられている。本年度においては、このD状態を実現することを目標の1つとした。このために、まずヒートパイプを製作し、その基礎特性を確認した。その後、バリウム標的に554nmレーザー光を照射して、P状態からD状態への超放射を観測した。また、観測された超放射強度の標的密度依存性、放射の角度依存性、遅延時間と標的密度との関係等を実験的に明らかにし、理論予想と比較した。更に1500nmレーザー光を照射すると、当該超放射が誘起され、超放射の強度が強くなること、それに伴い遅延時間が短くなること等を発見した。 ii)窒素原子内包フラーレン(N@C60)は不対電子をもつ窒素原子がスピン状態を保持したままフラーレンに内包された分子であり、優れた緩和時間特性及び量子干渉性を示すことが知られている。我々は、二光子対超放射の標的としてN@C60を視野に入れているが、生成量が少なく、高純度の試料を得ることが難しいのが欠点である。本年度においては、イオン衝撃法によって生成したN@C60とC60混合試料に対し、リサイクル高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法を用いてN@C60の分離および濃縮を行った。この結果、10^13個の高純度N@C60の作成に成功した。現在は、内包された窒素原子の励起準位の性質を研究している。 iii)このほか、ルビジウム(Rb)からのカスケード超放射の視測や、二光子対超放射に関連する理論及びシュミレーションの研究を行った。また今後の研究の方向性として、バリウムイオンを検討し、良い見通しを得た。
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[Presentation] マクロコヒーランス増幅機構を用いたニュートリノ質量分光(IX)-超放射を用いたバリウム準安定状態の生成実験-2010
Author(s)
大饗千彰, 福見敦, 中嶋享, 中野逸夫, 南條創, 岡林裕介, 笹尾登, 佐藤晴一, 内音坊僚平, 山口琢也, 吉村太彦
Organizer
日本物理学会第65回年次大会
Place of Presentation
岡山大学
Year and Date
2010-03-23
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[Presentation] 窒素原子内包フラーレンN@C60の高純度化と分光(2)2010
Author(s)
山口琢也, 内音坊僚平, 大饗千彰, 岡林裕介, 笹尾登, 佐藤晴一, 谷口敬, 中嶋享, 中野逸夫, 南條創, 福見敦, 吉川愛里, 吉村太彦, 若林知成
Organizer
日本物理学会第65回年次大会
Place of Presentation
岡山大学
Year and Date
2010-03-23
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[Presentation] マクロコヒーランス増幅機構を用いたニュートリノ質量分光(VIII)-低温マトリックスに単離・貯蔵した励起原子の分光測定-2009
Author(s)
中嶋享, 福見敦, 中野逸夫, 南條創, 大饗千彰, 笹尾登, 佐藤晴一, 内音坊僚平, 若林知成, 山口琢也, 吉村太彦
Organizer
日本物理学会秋季大会
Place of Presentation
甲南大学
Year and Date
2009-09-10