2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21244033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70162386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 貴浩 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40281117)
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Keywords | インフレーション宇宙 / 曲率揺らぎ / 宇宙の非ガウス揺らぎ / 修正重力理論 / ブラックホール / 重力波 / 暗黒エネルギー |
Research Abstract |
最近、様々な修正重力理論における時空計量の共形変換による観測量への影響が議論されている。そこで佐々木は、共形変換に対する曲率揺らぎの振舞いを明らかにし、観測量が共形不変であることを示した。また、ハイブリッド・インフレーションにおいて相転移を担う場による曲率揺らぎを解析し、モデルパラメーターに観測的に強い制限が課されることを示した。さらに、インフレーション中に粒子生成が起こる場合の揺らぎの非ガウス性を調べ、その波数依存性に特徴的な振動を見出した。田中は、高階微分曲率項+スカラー場理論に注目し、連星系からの重力波観測におけるエネルギー散逸の影響を見積もり、将来のスペース干渉計を使うと、理論に強い制限がつけ得ることを明らかにした。 連携研究者も多くの業績をあげた。辻川は、一般的なスカラーテンソル(ST)理論に基づくインフレーションでの揺らぎの非ガウス性と、暗黒エネルギー模型としての有効性条件を明らかにした。向山は、HL理論の低エネルギーで一般相対性理論への極限が連続的であることを示した。山本は、修正重力理論の予言と宇宙論的観測を用いたテストの研究を進めた。白水は、任意の高次元時空の光的遠方での対称性がポアンカレ群になることを示した。早田は、パリティーを破る重力波の非ガウス性がスローロールのオーダーで存在することを明らかにした。山口は、一般的なST理論におけるインフレーションからの揺らぎのスペクトル及び非ガウス性の公式を導いた。松原は、重力的非線形成長の摂動論を展開し、具体的に2ループ補正まで計算し観測量の予言を行った。千葉は、遠方の星の観測における二体ブラックホールの衝突に伴う影に複雑な構造を見出した。石原は、閉じた余剰次元をもつ高次元ブラックホールの厳密解の幾何学構造を解析した。高橋は、一般ポテンシャルを持つカーバトン模型におけるスペクトル指数や非ガウス性の解析的表式を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフレーション宇宙からの非線形・非ガウス揺らぎに関する研究も、修正重力理論に関する研究に関しても、国際的に注目される成果が順調に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通りに、ひとつひとつ確実に基礎を積み重ねていくと同時に、来年早々のPlanck衛星のデータ解析結果の発表など、観測の動向にこれまで以上に目を配りつつ、研究を推進する。
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Research Products
(55 results)