2009 Fiscal Year Annual Research Report
シアノ架橋金属錯体界面を通じた物質移動と電圧誘起機能
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21244052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
守友 浩 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00283466)
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Keywords | シアノ錯体接合 / 高速エレクトロクロミズム / カチオン経路 / 第一原理計算 / 価数差分分光 / 構造相転移 |
Research Abstract |
本基盤研究の目的は、アルカリ金属濃度-温度相図の作成、電圧による物質移動の機構解明、電圧印加による磁性制御、電圧印加による構造制御、の4つである。本年度の成果を列挙する。 1.シアノ錯体接合による高速エレクトロクロミズムの実現:Co-FeとNi-Feのシアノ錯体接合を利用することにより、スイッチングタイムが1秒程度といった高速エレクトロクロミズムに成功した。接合を改良することにより、さらなる高速化が可能であると思われる。 2.カチオン経路の解明:シアノ錯体薄膜のカチオン経路を実験的に明らかにした。イオン半径の小さなNaはプルシャンブルー格子の窓を通過することができるが、イオン半径の大きなKやRbはプルシャンブルー格子の隙間を経由することが分かった、こうした振る舞いは、第一原理計算により再現することができた。 3.価数差分分光法の開発:エレクトロクロミズム材料の電子構造を調べる手段として、価数差分分光法を開発した。この分光法は、薄膜をわずかに酸化/還元し、その際の差分吸収スペクトルの測定するものである。この差分吸収スペクトルには、酸化サイト/還元サイトに由来する吸収成分のみが現れる。この分光法を用いて、Fe-Feシアノ錯体の微弱な吸収帯を分離し、その同定に成功した。 4.アルカリ金属量によるによる構造相転移:Co-Feシアノ錯体にNaを導入することにより、正方晶から菱面晶への相転移が誘起されることを見出した。中間のNa量領域では、正方晶と菱面晶との二相共存が観測された。
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Research Products
(26 results)