2011 Fiscal Year Annual Research Report
相関電子系におけるトポロジーと量子ダイナミクスの理論的研究
Project/Area Number |
21244053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
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Keywords | 強相関電子系 / 量子ダイナミクス / 量子スピンホール系 |
Research Abstract |
a)(i)トポロジカル絶縁体上の2次元電子系における磁性不純物効果を、スケーリング理論を用いて数値的に調べた。磁性不純物は局在効果を引き起こし、その結果トポロジカル電気磁気結合効果を広いパラメーター空間で実現できることを示した。(ii)バルクで反転対称性が破れた巨大Rashba系BiTeIの第一原理計算を行い、角度分解光電子分光、光学スペクトル、軌道反磁性、などの物理量を計算し実験との良い一致を得た。また、k.p摂動法を用いて電子状態を解析し、巨大Rashba分裂が起きるための条件を明らかにした。(iii)トポロジカル超伝導体のカイラルエッジ状態、ヘリカルエッジ状態で実現されるマヨラナフェルミオンに伴うトンネル現象を相互作用効果まで含めて解析し、ジョセフソン電流が温度のべきに依存すること、準粒子電流がジョセフソン位相に依存するなどの特異な振る舞いを見出した。(iv)また、ヘリカルエッジ状態のマヨラナフェルミオンと磁性不純物の相互作用を考察し、異方的近藤効果が表れることを示した。 b)(i)スピン・電子結合系の量子ダイナミクスのシミュレーションを進め、光励起による絶縁体・金属転移の実時間発展を捉えることに成功した。光励起強度に関する閾値的振る舞い、励起エネルギー依存性を見出すとともに、時間・空間の非均一構造が転移の中間過程で自発的に現れることを見出した。例えば、励起光の偏光方向の記憶を電子系が保持し、少し時間が経った後でその方向にストライプ秩序が発生する現象を見出した。これらの結果は、マンガン酸化物系における光誘起絶縁体・金属転移の実験結果と良い符合を示している。(ii)また、電場を印加することによって光励起電子・正孔対が自由キャリアーになる過程も捉えることに成功し、強相関太陽電池の基礎過程の解明に寄与した。
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Research Products
(21 results)