2011 Fiscal Year Annual Research Report
2相クラスターの選択的多重イオン化後の電荷移動とエネルギー移動
Project/Area Number |
21244062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 潔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50151791)
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Keywords | 原子分子科学 / クラスター / 反応素過程 / 光イオン化 |
Research Abstract |
大型放射光実験施設SPring-8の軟X線ビームラインBL27SUにおいて、冷却クラスター源を電子・イオン多重同時計測運動量分光装置に取り付け,アルゴン2量体Ar_2のAr 2p->3d共鳴内殻励起実験を行なった。共鳴オージェ緩和後に起こる原子間クーロン緩和(ICD)過程を電子・イオン多重同時計測法により観測した。3p^<-2>3dオージェ終状態からのICDはほぼ中性2量体の基底状態の平衡核間距離近傍で起こるのに対して、3p^<-2>4dシェイクアップオージェ終状態からのICDは核間距離が縮んだ後に起こることを見出した。共鳴オージェ励起に伴うICD過程は今回初めて観測されたものである。さらにネオンクラスターのNelsイオン化実験ではクラスター内光電子多重散乱の様子が光電子角度分布に反映されること、ICD電子の放出角度分布は完全に等方的であること、2重イオン化後に起こるICDと3重イオン化後に起こるICDとでICD電子の運動エネルギーが異なることなどを見出した。 SPring-8に併設されたEUVFEL実験施設において、冷却クラスター源と電子・イオン運動量分光装置を用いてNeArコアシェル型混合クラスターの高強度EUV光を用いた多重イオン化実験を行った。光子エネルギーをNe原子のイオン化エネルギーよりも低く設定したにもかかわらず、Arコアクラスター部分の多重イオン化に続いて効率よくNeシェルクラスター部分に電荷移動が起こることが見出された。
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Research Products
(17 results)