2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244066
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鍋川 康夫 The Institute of Physical and Chemical Research, 緑川レーザー物理工学研究室, 専任研究員 (90344051)
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Keywords | アト秒パルス列 / 高次高調波 / 軟X線 / 非線形化学 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画に基づき、高エネルギーのQ-スイッチYAGレーザーの2倍波(グリーンレーザー、パルス幅8ns)とCPAレーザーシステムで増幅されたチャープしたチタンサファイアレーザー(パルス幅400ps)の差周波混合で、赤外(IR)光を発生させる実験を行い、高強度のIRが得られるか否かの原理実証実験を行った。使用したグリーンレーザーは最大で1.4J、チタンサファイアレーザーは240mJのパルスエネルギーを持っており、非線形結晶としてはLBOを用いた。得られたIR光のパルスエネルギーは5mJであり、予想よりもかなり効率が悪い。これは入射レーザー光のパルス幅が大きく異なるためである。これを改善するためにグリーンレーザーを大幅に改造するにはコストと時間がかかるため、チタンサファイア励起の光学パラメトリック増幅装置の開発に着手した。この手法に於いて高強度IRフェムト秒光を発生するための最大の問題点は励起ビームの空間不均一性であるが、これは位相マスクを用いて改善できると考えている。また、本年はアト秒パルス列の応用のためのビームラインを開発・評価する為に、チタンサファイアレーザーを用いた高次高調波の応用実験を行った。その内の一つは、本研究の最終目標であるアト秒領域に於けるポンプ-プローブ型の実験を行う為のものである。この種の測定の為には、時間遅延の精度が波長よりも十分良くなければならないが、我々の開発した計測装置は、波長30nmの軟X線領域においても干渉測定が出来るだけの十分な精度を備えている事が分かった。また、チタンサファイアレーザーにその2倍高調波を重ねる事で、高次高調波の周波数がシフトする現象を世界で初めて発見した。この現象は、2倍波でアト秒パルス列の周期を制御出来る事を意味しており、もう一つの周期可変アト秒パルス列発生光源として期待できる。
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Research Products
(9 results)