2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244066
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鍋川 康夫 独立行政法人理化学研究所, 緑川レーザー物理工学研究室, 専任研究員 (90344051)
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Keywords | アト秒パルス列 / 高次高調波 / 軟x線 / 非線形光学 |
Research Abstract |
本年度は超短パルスIR光を発生させる光学パラメトリック増幅装置(IR-OPA)の基本設計の改良を行い、この製作に着手した。非線形媒質にBBO結晶を用いた縮退IR-OPAは、通常の波長のチタンサファイアレーザー(波長800nm)で励起した場合、完全な4次分散制限に到る広帯域化は不可能であり、オクターブを超える周波数帯城を持つIRパルスを得る事は難しい。研究代表者は励起波長を710nmまで短くする事により、縮退IR-OPAに於いて1オクターブを優に超える位相整合が可能になる事を既知の分散特性から導き、これに位相補償を行えば、光学周期1サイクル分のパルス幅の極短IR光パルス発生が可能である事を見いだした。これを高強度化し、高次高調波発生を行えば、そのスペクトルはHeの2光子励起遷移の全周波数領域で連続スペクトルになる事が予想され、励起波長のスキャンをする事無く、超高速電子波束の発生が行える事が期待出来る。そこで、既存のレーザーシステムの改良に着手し、710nmの波長の励起光を得る準備を始めた。これまでの所、再生増幅器から中心波長710nm、パルスエネルギー150μJ、繰返し1kHzの出力を得ており、フーリエ限界で100fs以下のパルス幅が得られるスペクトル幅を確保している。波長のチューニング手法等は来年度に報告する予定である。 これと同時に高強度アト秒パルス列応用実験を予めテストしておく為のサブ15fsチタンサファイアレーザー及びそれを用いた高次高調波ビームラインの開発を進め、パルス幅12fs、ピークパワー3TW、繰返し100Hzのシステムを開発した。また、2波長励起の高次高調波に於ける周波数変調の現象についての数値計算による解析等も行った。
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Research Products
(15 results)