2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 伸和 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環内海域環境教育研究センター, 准教授 (30270862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野木 義史 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90280536)
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Keywords | 海洋底地球科学 / 海底拡大系 / 背弧海盆 / 上部マントル / 海底長期観測 |
Research Abstract |
背弧海盆における海洋底拡大の形態は、拡大軸と島弧火山列との距離により変化することが指摘されており、その形態変化はメルトの供給量が主要なパラメータであることが明らかになってきた.メルトの供給量は、その供給源である拡大軸下の溶融帯が支配しており、溶融帯の実体に迫ることがこの系のダイナミクスを理解する鍵となる.平成21年度は、本研究のコアである、海底における長期電磁場観測を、ラウ背弧海盆の拡大軸付近で開始することができたことが最大の成果であり、その詳細は以下の通りである.まず、海底地震計に取り付けて、海底において長期磁場観測ができる世界最小の海底磁力計を開発した.この海底磁力計の必要な試験と動作確認等を行い、11台を量産した.さらに、海底磁力計を取り付けることになったコロンビア大学ラモント・ドーティー地球科学研究所の海底地震計との取り付けに関して綿密な打合せを行い、これに必要な部品も製作した.一方、海底磁力計に電位差測定を可能にしたタイプ3台と既存の電位差磁力計本体1台、および周辺機器や消耗品を購入し、現有の機器も活用することにより、合計6台の海底電位差磁力計を整備した.これら海底磁力計11台と海底電位差磁力計6台を、海底地震計とともに、ラウ背弧海盆の拡大軸付近に、スクリップス海洋研究所の調査研究船R/V Roger Revelleにより11~12月に設置した.これらの機器によって、現在海底での連続観測を実施しており、約1年後に機器を回収して観測データを得る予定である.また、ラウ背弧海盆の比較研究として進めていた中部マリアナ背弧海盆での海底電磁場観測データの解析結果から、この拡大軸下には、溶融帯に相当するような低比抵抗領域が存在せず(もしくはイメージングできないほど小さい)、連結していない溶融状態である可能性が高いことがわかった.
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