2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 伸和 神戸大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30270862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野木 義史 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90280536)
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Keywords | 海洋底地球科学 / 海底拡大系 / 背弧海盆 / 上部マントル / 海底長期観測 |
Research Abstract |
昨年度に観測を終了して、ラウ背弧海盆の拡大軸付近で得られた海底電磁場観測データの解析を引き続き行い、この拡大軸下の上部マントル比抵抗構造を明らかにした.まず、電磁場の生データに各種の補正を行い、補正後の電磁場データからMTレスポンスを推定した.次に、海底地形がMTレスポンスに与える効果を見積もって、これを補正した.さらに、海底地形補正をした後のMTレスポンスにインバージョン解析を行い、2つの測線下の上部マントル比抵抗構造を推定した。得られた比抵抗構造からは次のような特徴を明らかにした.(1)南測線と北測線の両測線下において、最上部マントルに300Ωm以上の高比抵抗領域が存在する.(2)深さ100-200kmのマントルは50Ωm以下の低比抵抗値をもつ.(3)両測線下ともスラブ直上の比抵抗値は、スラブ直上に沿って150kmの深さで大きく変化し、それより深部では50Ωm以下となる.またその深さでのスラブの上には、最上部マントルにおいても低比抵抗領域が存在し、南測線の場合には拡大軸も位置している.このことは、深さ150kmにおけるスラブからの脱水が、浅部の低比抵抗領域を生み出し、拡大軸下の溶融・含水状態に影響していることを示唆している.一方、ラウ背弧海盆の比較研究として、中部マリアナ背弧海盆における拡大軸下の溶融帯構造の3次元的な解析を進めた.この結果、溶融帯としては、溶融部分がつながっている状態では、1)ピラミッド型で拡大軸中央に集中するような形状で、2)溶融量は0.1~1%と比較的少ない、という構造が最もらしいことを明らかにした.この溶融帯の特徴は、低速拡大系の特徴であると結論づけた.これらの結果を関連する研究集会で報告をするとともに、一部の結果を学術論文としてまとめつつある.
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Research Products
(9 results)