2011 Fiscal Year Annual Research Report
波動-粒子相互作用・電磁場による放射線帯・衝撃波・極域磁気圏での宇宙プラズマ加速
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21244075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平原 聖文 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (50242102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 浩嗣 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (10215254)
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Keywords | 宇宙空間 / 宇宙プラズマ / 粒子加速 / 波動-粒子相互作用 / 電磁場 / 磁気圏 / 放射線帯 / オーロラ帯 |
Research Abstract |
本研究は、地球周辺のおける宇宙プラズマ・波動・電磁場の直接観測において普遍的に見られる粒子加速とその関連現象を中心的な研究課題とし、観測技術的側面、及び、データ解析・モデリング的側面において相補的に推進する。本年度は以下の内容を達成した。 (A)プラズマ粒子センサー較正用装置イオンビームラインの機器配置の改善や制御系パラメータの調整により、イオン・電子ビーム特性改良を施した。特に、韓国の超小型人工衛星搭載用荷電粒子分析器の較正試験において、加速電圧出力電源からの雑音を低減し、38 keVまでの電子ビームの強度補正を施し、有意義な試験データを取得した。 (B)日本独自のコミュニティーミッションとしてのジオスペース探査衛星(ERG)計画に向けて開発中の中エネルギー帯域電子計測センサーの性能向上実験を行い、フライトモデル開発の基礎とした。特に、黒色塗装された静電分析部と小型APD(アバランシェフォトダイオード)の製作を行った。 (C)衛星機上処理専用回路(CPU)のボードを用いて具体的な機上ソフトウェアのプログラミングを作製した。特に、機上位相校正に必要なFFT、逆FFT処理を可能な限り高速に実行できるようプログラムを最適化した。 (D)オーロラ帯における沿磁力線電場による粒子加速現象に粒子速度分布と沿磁力線電流・オーロラ発光の領域・時間変化との相互比較を行った。また、電離圏イオンの加熱・加速現象と沿磁力線電場・電流との領域・強度の比較を行い、オーロラ帯上空に複雑に分布する上下方向の沿磁力線電場の存在を示唆し、電離圏高度でのイオンの分布関数に定性的な解釈を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマ粒子センサー較正用装置イオン・電子ビームラインの整備・再構築に関しては当初の予定通りの進捗であり、今後の研究において律速となる点は発生していない。海外との共同較正試験においても、発生した問題に対しては、日頃より調達・整備しておいた予備機器の臨機応変な適用により解決されている。ERG衛星計画自体の承認、及び、全体の設計が見通しよりも遅れているので、各搭載機器、例えば本研究では、特に高・中エネルギー帯域電子計測センサーが該当するが、これらの詳細設計が遅延している。しかしながら、本研究課題である、センサーを構成する各要素の開発においてはほぼ予定通りである。この他、衛星機上処理用ソフトウェア、及びデータ解析に関しては、順調な研究進捗推移となっており、特に、極域オーロラ帯での粒子加速現象に関しては、様々な新しい事例・側面に迫れており、将来の探査計画立案の基礎ともなっている。本研究分野における将来の衛星観測計画として推進すべき課題と具体的な計画の策定に着手する段階にまで達している。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のERG衛星計画自体の承認遅延により、本年度の経費の内の半額以上を、既に最終年度である平成24年度に繰り越しており、本報告書の内容は平成23・24年度の研究内容に関して記載を行っている。その為、現時点で既に本課題は終了しているが、本研究で得られた各項目に相当する実績・成果、例えば、プラズマ粒子センサー較正用装置イオン・電子ビームライン、ERG衛星計画用高・中エネルギー帯域電子計測センサー、同じく、ERG衛星計画に向けた波動・粒子相互作用解析用機上処理ボード・ソフトウェア、等は今後の関連研究の根幹となるものであり、具体的な設計・開発に向けて活用することになる。
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