2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期地球でのアミノ酸生成とペプチド化プロセスの解明
Project/Area Number |
21244080
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60250669)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 利守 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70343829)
大庭 雅寛 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40436077)
|
Keywords | 衝撃波 / ポストインパクト / アミノ酸 / ペプチド / 初期地球 |
Research Abstract |
本研究課題は、生命起源に関するアミノ酸生成とその重合の問題を地球科学的手法で取り組む課題である。第一の目的として、(1a)限石海洋衝突を模擬した衝撃実験と、(1b)衝突蒸発雲を想定したガスー鉱物反応実験を行う。第二の目的として(2a)単一アミノ酸だけの系と(2b)複数アミノ酸混合系、(2c)そこに鉱物を加えた混合系において高温高圧実験を行い、アミノ酸からタンパク質に移り変わる過程を解明する。第一の目的を果たすのは(1a)衝撃圧縮実験装置を用いた衝突再現実験と(1b)衝突蒸発雲内部を想定したガス固体反応実験であり、様々な改良を加えて実験が行われた。ここでの生成物はLC-MSとGC-MSなどを用いて分析され、前年度以上に多種の低分子有機分子が生成されることを示した。 第二の目的を果たすために、高温高圧状態でのアミノ酸の重合実験を展開した。それには物質材料研究機構のベルト型高圧発生装置、東北大学のオートクレープおよびピストンシリンダー高圧発生装置を用いた。その結果、複数アミノ酸混合系では、単純系で生成されなかったペプチドが高温高圧状態で生成されること、超高圧環境(最大5GPa)でも難生成ペプチド(アラニンの4量体など)が生成されることを示し、Astrobiology誌に公表し、生成物に対する安定同位体分析の有効性も示すことができた。反応を促進させるために1GPa,350℃という極限状態を作り出した中で、アラニンやグリシンが重合しペプチドを形成したことを確認した。本来なら全て炭化する温度であるが、それを制御した圧力の効果は絶大であった。この成果に対して2011年国際生命起源と進化学会において最優秀成果発表賞を受賞した。
|
Research Products
(15 results)