2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244086
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日高 洋 広島大学, 理学研究科, 教授 (10208770)
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Keywords | 宇宙線 / 隕石 / 同位体 |
Research Abstract |
太陽系内に存在する惑星物質に含まれる元素の同位体組成を精密に測定することにより,その同位体体変動から原子核の性質を把握することができる。本研究では地球化学的観点に基づく同位体研究(天然の核反応に基づく元素の同位体組成変動)から素粒子の特性解明に結びつくことが期待できる研究課題の中から,宇宙線と惑星物質の相互作用によって惑星物質表面で起きる核反応の一つである中性子捕獲反応の定量的評価について以下の通り実施した。 1.1億年以上の長い宇宙線照射年代を示すことで知られているNorton County隕石について化学的,あるいは鉱物学的に異なる複数のフェーズを分離し,各フェーズごとに個々にSm,Gd同位体分析を行った。同隕石中で発生した中性子全量は各フラクションで非常に不均一であり,特にエンスタタイト(Mg_2Si_2O_6)を主成分とする鉱物分離フラクションからは全岩にくらべて10倍以上高い中性子発生量を記録することがわかった。中性子の発生量が高いフラクションではそのエネルギーレベルも高いこともわかり,隕石が形成される前に原始太陽からの高エネルギー照射の影響を受けたものの一部が混入している可能性を示唆していると考えられる。 2.石質隕石とは構成成分の全く異なる石鉄隕石の一種であるメソシデライトについて,Sm,Gd同位体比分析を行い,宇宙線照射に誘発して生成される中性子のエネルギーの違いについて検討した。その結果,メソシデライト中で発生する中性子は石質隕石中のものと比べて高いエネルギーをもつ傾向があることがわかった。
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Research Products
(15 results)