2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 明弘 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (70252418)
|
Keywords | 表面 / 界面 / 和周波発生分光 / 分子動力学 |
Research Abstract |
界面和周波分光は分子レベルの界面構造解析を与える実験手法として、近年では広く用いられるようになった。それに対して当該研究グループは、分子シミュレーションに基づいて和周波分光を計算し解析する手法を国際的に先駆けて開発してきた。本年度の本基盤研究では、非線形感受率χ^<(2)>の位相解析の理論について成果を得た。近年の和周波分光の進歩のなかで、位相を含めて非線形感受率χ^<(2)>自体の値を測定する手法が開発きれ、従来の強度スペクトルを超えた新たな展望がもたらされた。χ^<(2)>の位相は分子配向と関連すると考えられてきたが、水表面のχ^<(2)>の実験結果のうち、とくにO-H伸縮振動の低波数領域(~3000cm^<-1>)の位相は、分子シミュレーションによる界面の分子配向では説明できなかった。しかし本年度の我々の研究によって、界面での局所電場は、その環境の不均一性を反映して異方性が強いためであることを明らかにした。低波数領域の振動は強く水素結合した水分子に対応し、分子間の静電相互作用が異方的であるため、その遷移モーメントは分子配向とは異なることを明らかにした。今後の位相解析にとって、集団的な遷移モーメントを考える必要があることを示した初めての例である。
|