2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 明弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70252418)
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 和周波発生 / Charge Response Kernel / フェルミ共鳴 / メチル基 / 振動分光 |
Research Abstract |
研究実績の概要 アルキル基を含む有機分子のC-H伸縮領域の和周波分光は、有機薄膜などの構造解析で数多くの測定例が報告されてきた。メチル基のC-H伸縮はフェルミ共鳴を含む多くのモードが重なって複雑な様相を示すが、その振動スペクトルは、界面アルキル鎖の配向角やその分布、gauche配置の混入による乱れなど、有機薄膜の構造変化を敏感に反映する。その情報を引き出すには、理論計算に基づく解釈の指針が求められる。そこで本年度の研究では、メタノール分子を例にとってメチル基の振動に対する和周波分光の精密解析を行った。 メタノールの分子モデルでは、Charge Response Kernel理論に基づいて分子間力や分極揺らぎを表現した。またメチル基のC-H振動におけるフェルミ共鳴の効果を古典力学に基づく分子動力学シミュレーションの中に実効的に取り込む分子モデルを開発した。得られた分子モデルを用いて、液体メタノールの赤外、ラマン分光およびメタノール界面の和周波分光を計算して統一的な解釈を与えた。一見非常に異なる形状を示すスペクトルが、対称・反対称伸縮の強度およびフェルミ共鳴の効果の違いを考慮することで、分子動力学計算によってその特徴を統一的に再現することができることを示した。
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