2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21245003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (60080470)
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Keywords | 超高感度熱量測定 / Raman散乱 / 同時測定 / 構造変化 / 相転移 / コンフォメーション / 緩和時間 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
イオン液体は様々な特異的な性質を示す。特に熱物性はユニークである。本年度は、相転移に焦点をあて、超高感度熱分析とラマン散乱等を併用し、熱物性と構造を関連づけながらイオン液体の特異性について研究を行った。C_n-methyl-imidazoliumカチオンのハロゲン化物について、3つのユニークな熱現象(振動的凝固・融解、間歇的結晶化、可逆的融解・結晶化)を発見した。これらの特異的な現象は、すべて、コンフォメーションの変化と相変化や熱履歴などの熱現象がリンクしていることに起因すると結論した。振動的凝固・融解および間歇的結晶化は、本研究の超高感度熱量計で初めて検出可能となった世界初のデータである。 また、C_n-methyl-imidazoliumカチオンおよびC_nC_1-methyl-imidazoliumカチオンに注目し、アニオンを様々に変えて相挙動を系統的に調べた。相変化はすべて、コンフォメーションの変化とリンクしていることを明らかにした。コンフォメーションのフレキシビリティかイオン液体の熱物性に本質的な効果を及ぼしていると結論した。 上記の熱現象をダイナミクスの立場から、NMRの緩和時間(T_1、T_2で検討した。低周波数NMRを用いて、^1HからC_n-methyl-imidazoliumカチオン全体のダイナミクスを、高分解能NMRを用いて^<13>Cから各炭素のダイナミクスを検討した。結晶化やガラス転移以外に、各原子の運動が凍結する状態を見つけた。炭素の運動性の観点から、タイプの異なるグループの運動性が、複雑な熱挙動を示す一つの原因であることを明らかにした。本結果を纏めた論文は、Phys.Chem.Chem.Phys.のCover Articleに選ばれた。また、20~30分もかかる非常にゆっくりとした1次の相転移をNMRのFID信号から見つけた。
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Research Products
(17 results)