2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / エキシトン・ダイナミクス / 量子Master方程式 / 電子移動ダイナミクス / 色素増感型太陽電池 / 界面錯体型の電荷移動遷移 / 電子注入過程 / 内部転換 |
Research Abstract |
(1)電子供与分子/電子受容分子の異種界面での電子ダイナミクスと励起エネルギー移動 電子供与分子と電子受容分子の異種界面を利用した有機薄膜太陽電池では、エキシトンの拡散速度、寿命、電荷分離確率といったエキシトン・ダイナミクスが光エネルギー変換効率を律する重要な要因である。量子Master方程式を用いたDonor/Acceptorの配向変化に伴うエキシトン・ダイナミクスの解析により、Donor(TFB)/Acceptor(F8BT)の配向を変化させた際の電荷移動状態(D^+/A^-)の強い配向依存性が見られた。これらの電子移動ダイナミクスの違いは、配向の変化にともなう、Donor/Acceptorの分子軌道の相互作用の違いによる励起状態の変化で定性的に説明できた。 (2)色素から酸化チタンへの電子注入過程 色素から酸化チタンへ電子注入が起こる一般的な色素増感型太陽電池と異なり,界面錯体型の太陽電池では色素あるいは表面吸着分子から酸化チタンへ直接電子注入が起こる。まず酸化チタンと吸着分子の複合系についてTDDFT/B3LYP/6-31G*計算により界面錯体型の電荷移動遷移を明らかにした。一方、酸化チタンへ注入された電子の色素分子への逆電子移動はIPCEの効率を下げる。この現象の要因の1つとして振電相互作用による内部転換を指摘し,TCNE,TCNQ,TCNAQの逆電子移動反応について励起状態における振電相互作用に着目した解析を行った。パイ共役の増長による光吸収量の増加と,分子サイズ増大に伴う低振動数振動寄与による逆電子移動の増加のトレードオフにより,TCNQが最も高いIPCEをもつという実験結果を説明することに成功した。
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Research Products
(6 results)