2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔とイオンチャンネル中のイオンの水和と輸送現象
Project/Area Number |
21245006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80197459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲賀 研一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10315020)
大峯 巌 京都大学, 福井謙一研究センター, 研究員 (60146719)
大久保 貴広 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30385554)
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Keywords | 水 / 氷 / クラスレート / 水素 |
Research Abstract |
水は広い温度圧力領域において数多くの結晶多形を有し、それは水分子の持つ水素結合能に深く依存していることは、その四面体構造から明白である。これらは氷IhからIXとして知られ、いくつかはプロトンの位置に自由度がある、したがって有限の残余エントロピーを有し、他の配置の決まった結晶では誘電率は非常に小さい。また、疎水分子を取り込んだ包接水和物も、完全な水素結合をした空間に小さな分子が閉じ込められた物質であり、幾つかの結晶型が知られている。この包接水和物は水単独では不安定であり、ゲスト分子との共存ゆえに安定に存在することができる。最近、さらに小さいヘリウムや水素を包接した氷II(以下C1)と水素を包接した氷Icが(以下C2)発見された。氷IIはc軸方向に直径0.3nm程度の円筒状の空間が存在し、これらに水素が包接されるとその水との比は1:6であることが知られている。また、氷Icはダイアモンド型の配置であり、体心立方格子の半分だけが占有されている。残りが水により占有された結晶が氷VIIであるが、水素で占有されたものが、この包接氷である。したがって、この場合には水と水素の比は最大1:1となる。これらの化合物は低温高圧で安定であるが、そのほかの生成条件や水素の包接量は不明な点が多い。これらは、基本的に包接水和物に分類され、したがってvan der WaalsとPlatteeuwの理論により熱力学的安定性は説明され、したがって分子間相互作用のみから広い温度圧力範囲の相図を予測することが可能であるとの見通しをたてた。本年度の研究では、主として分子動力学計算機シミュレーション(NPT/GC MC)と自由エネルギー計算によりこれらについて調べた。その結果、広い温度・圧力・組成範囲における安定相を決定することができた。また、安定相における水素の包接率についても、理論的に予測できることを示した。
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Research Products
(10 results)