2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔とイオンチャンネル中のイオンの水和と輸送現象
Project/Area Number |
21245006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80197459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲賀 研一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10315020)
大久保 貴広 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30385554)
大峯 巌 分子科学研究所, 所長 (60146719)
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Keywords | 水 / ハイドレート / GCMCシミュレーション / イオンチャンネル / 氷 |
Research Abstract |
分子シミュレーションは未知の結晶構造を予測し、相転移現象を調べ、相図を作成するための非常に強力な手法である。ここではその一例として、水が制約空間を形成する場合のクラスレートを取り上げる。クラスレートハイドレートは水分子が水素結合をしたネットワーク構造のなかに存在する0.5-0.6nmの大きさの空洞に、炭化水素、二酸化炭素などがゲスト分子として取り込まれた非化学量論的な化合物の結晶である。クラスレートハイドレートは、ガスの貯蔵、天然ガス資源、海水の淡水化など多様な用途が期待されている。この工業的な利用には、その生成の平衡と速度に関する様々な基礎研究を経て始めて実用段階に達することができる。生成解離の機構を解明して理論的な平衡の予測と安定性に寄与する物理量を評価できれば、実験に対して指針を与える点でも、また経済的な観点からも社会的貢献度は大きいと考えられる。水素は高圧で立方晶氷(Ic)とイオンチャンネルと同様の筒状の氷IIへ取り込まれることが実験的に知られている。しかしながら、その安定性の起源や氷などとの相平衡、また水素の包接量の温度圧力依存性などには不明な点が多い。本研究では、特に高圧における水素ハイドレートの生成・解離に関して、実験に頼らず第一原理から自由エネルギー計算に基づいて、広い温度や圧力範囲における相挙動を再現/予測する方法を確立することを目的とした。そのため、GCMCシミュレーションにより水素の包接量と安定性、また空洞占有の自由エネルギーから熱力学的安定性と相挙動を調べた。
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Research Products
(10 results)