2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔とイオンチャンネル中のイオンの水和と輸送現象
Project/Area Number |
21245006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80197459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正和 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10283459)
大久保 貴広 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30385554)
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Keywords | 水 / イオンチャンネル / クラスレート / ハイドレート / 分子動力学 |
Research Abstract |
イオンチャンネル中の水とイオンの拡散を調べるために、種々の直径のナノチューブ中に閉じ込められた塩化カリウム水溶液の分子動力学シミュレーションを行った。クーロン相互作用は直接イメージセルとの相互作用として計算した。実質的な陽陰両方のイオンの拡散は、1nm以上になり可能となることが明らかとなった。このチューブ直径下において、イオンの配置の交換速度を調べた結果、初期の不利なイオン配列はナノ秒以下で平衡配置に変化することが分かった。また、拡散係数はバルクの値に収束するチューブ直径は、イオンや水の大きさに依存するが、およそ2.5nm程度であることが判明した。 ナノ細孔としてクラスレートハイドレートと呼ばれる水が作る籠状の空間がある。格子を形成する水は、通常の氷(六方晶氷)と同様に最近接の水分子と4本の水素結合をしている。しかし、ゲスト分子を収容する空洞が含まれているので、ゲスト分子が全く存在しない仮想的なクラスレートの密度は氷よりも10%程度低い。普通のクラスレートは、CS-1およびCS-IIと呼ばれる結晶型をとる。このほかに、二種類以上のゲスト分子存在下のみで生成するHS-III型やBr2をゲストとするHS-I型が知られている。メタンやプロパンはCS-IとCS-IIの結晶型をとる。これらの構造以外に安定な構造は無いのか、また、ゲスト分子の種類により結晶構造はどのような影響を受けるかどうかについて詳細に調べた。これらに基づいて・クラスレートハイドレートの熱力学的安定性の理論と包括的な構造探索方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの既成のソフトウェアを使用したシミュレーションではなく自作のプログラムにより、ナノ空間におけるイオンの水和とダイナミクスを明らかにしつつあること、またそのために境界条件なども自在に設定できる点を勘案すれば、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
イオンチャンネルのモデルとして、より現実的な親水性壁を設定して、イオンのダイナミクスを明らかにすることが必要であり、次年度に実施する予定である。
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Research Products
(14 results)