2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔とイオンチャンネル中のイオンの水和と輸送現象
Project/Area Number |
21245006
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80197459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10283459)
大久保 貴広 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (30385554)
|
Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2013-03-31
|
Keywords | イオンチャンネル / 水和 / 制約空間 / 分子動力学 / クラスレート / ハイドレート / 水 |
Research Abstract |
ナノサイズの空間における構造と相挙動および物質移動、とりわけイオンチャンネルを想定した水と種々のイオンのダイナミクスの微視的描像を確立することを目的とする。これまでに見出された制約空間における水の特異な相挙動に加えて、異方かつ限定的な水和によるイオンの輸送過程を、計算機シミュレーションにより明らかにした。 具体的には、等温かつ軸方向に対する一定圧力条件における、カリウムと塩素イオン水溶液の様々なナノチューブ内における構造とダイナミクスを、分子動力学シミュレーションにより調べた。チューブサイズが1 nm以上では、イオンの安定配置への緩和は初期配置に強く依存するが1 ns以内に完了する。チューブサイズが1 nm以下では軸方向へのイオン交換には非常に長時間要する。このときの安定構造は、正負イオンが交互に軸方向に並んだ配置であるが、イオンの拡散はナノチューブのサイズに対して減少することを見出した。拡散係数がバルクの値に収束するチューブ直径は、イオンや水の大きさに依存するが、およそ2.5 nm程度であることが判明した。 ナノ細孔としてクラスレートハイドレートと呼ばれる水が作る籠状の空間がある。格子を形成する水は、通常の氷(六方晶氷)と同様に最近接の水分子と4本の水素結合をしている。普通のクラスレートは、CS-IおよびCS-IIと呼ばれる結晶型をとる。このほかに、二種類以上のゲスト分子存在下のみで生成するHS-III型やBr2をゲストとするHS-I型が知られている。メタンやプロパンはCS-IとCS-IIの結晶型をとる。これらの構造以外に安定な構造は無いのか、また、ゲスト分子の種類により結晶構造はどのような影響を受けるかどうかについて詳細に調べた。これらに基づいて、クラスレートハイドレートの熱力学的安定性の理論と包括的な構造探索方法を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|