2011 Fiscal Year Annual Research Report
アト秒ピコメートル精度の時空間コヒーレント制御法を用いた量子/古典境界の探索
Project/Area Number |
21245007
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大森 賢治 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (10241580)
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Keywords | 波束 / アト秒 / ピコメートル / コヒーレント制御 / デコヒーレンス |
Research Abstract |
(1)凝縮系におけるデコヒーレンスの検証とコヒーレント制御の開発 固体パラ水素に対してアト秒精度でタイミングを制御された誘導ラマン励起列を適用することによって、結晶中で非局在化したフレンケル型の励起子の量子干渉をほぼ完璧に制御することに成功した。バルク固体中の量子/古典境界を探索するための新しい実験ツールとして期待される。この成果は国際的な科学誌に投稿済みである。 YBa_2Cu_3O_<7-δ>の超伝導性と強く結合していると考えられるフォノンモードをアト秒精度で間隔が制御されたフェムト秒レーザーパルス列を使って選択的に励起することに成功した。光で超伝導を制御するための第一歩として期待されている。本成果は、英国の王立化学会の招待論文として発表された。 テラヘルツ領域の精密パルス整形技術を用いて、ビスマスのバルク結晶中の直交する二つのフォノンモードをコヒーレントに重ね合わせることによって、バルク固体中の原子の2次元運動を自在に制御することに初めて成功した。本手法は、「直交する二つの運動を重ね合わせると2次元運動になる」という単純で堅牢な原理に基づいており、様々なバルク固体に適用し得る普遍的なものである。この成果は国際的な科学誌に投稿済みである。 (2)デコヒーレンス制御法の開発 孤立ヨウ素分子内に発生させた振動波束は、徐々に空間的に広がりつぶれて行くが、この過程を高強度の赤外クェムト秒レーザーパルスを用いて遅らせたり早めたりすることに成功した。多体相互作用によるデコヒーレンスを制御する為の実験ツールとして期待される。
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Research Products
(25 results)