2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (50195781)
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Keywords | 水溶媒 / 有機合成 / アリル化反応 / 位置選択性 / アンモニア / アリルアミン |
Research Abstract |
本研究課題「水を溶媒とする精密有機合成反応の開発」において、本年度は以下の成果を得た。 (1)水溶液中においてのみ発現する位置選択的反応 申請者らは、アリルボロネートをアリル化剤として用いる水溶液(水-有機溶媒の混合均一溶液)中でのアリル化反応において、亜鉛触媒や銅触媒を用いた場合に、有機溶媒中とは異なる選択性(α付加)が発現することを見いだしている。本年度は、本反応のさらなる展開を行った。この予想メカニズムの検討を行い、ホウ素からアリル基が転位して触媒金属のアリル種が生じる金属交換反応を経由する機構である可能性が高いと推論した。さらには、本反応を最も基本的なアルデヒドを始めとする他の求電子剤を基質とする付加反応へと展開した。アルデヒドを用いた場合においては、α付加において高いジアステレオ選択性および良好な不斉選択性を得ることができた。 (2)アンモニア水を用いる水中での精密有機合成 申請者はごく最近、パラジウム触媒を用いることで水溶液(水と有機溶媒の混合均一溶液)中でアンモニアから第一級アリルアミンを選択的に合成する方法を見出している。本年度は、第一級アリルアミン合成法を高効率な反応系へと改良するため、より単純な基質であるアルコールからアンモニア水を用いて直接アミンを得る方法を検討した。その結果、水溶液中においてパラジウム触媒および添加剤の存在下、アリルアルコールから直接第一級アリルアミンを得ることができることが明らかになった。本手法はアンモニアを活用する精密有機合成の開発において重要な指針となると思われる。
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