2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245015
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20262850)
|
Keywords | 多座配位子 / ヒドリド錯体 / チタン / 金属間結合 / アリールオキシド錯体 / アニリド錯体 |
Research Abstract |
前年度までの研究において3つのアリールオキシド基を3脚型に連結した3座配位子を用い、高原子価ヒドリド錯体の合成を行ってきた。本年度は配位子をアリールオキシド多座配位子にアニリド基を導入した混合型多座配位子を用い、チタン-ヒドリド錯体の合成を検討したので報告する。 アニリンのオルト位にフェノールを2つのメチレン鎖を通して連結したアリールオキシド/アニリド配位子[ONO]^<3->を新しく設計、合成した。3倍等量のBuLiとH_3[ONO]をトルエン中で反応させることで、Li_3[ONO]を合成した。この配位子のリチウム塩にTicl_4(THF)_2をトルエン中で作用させると単核錯体[ONO]TiCl(1)が得られた。錯体1をカリウムグラファイトで還元するとチタン3価の2核錯体[(ONO)Ti]_2(2)が得られた。ベンゼンなどの非配位性の溶媒中では錯体2は固体構造で観測された2核構造が保持されており、反磁性である。しかし、配位性溶媒であるDMEに溶解すると常磁性の単核錯体[(ONO)Ti(DME)](3)が生成する。錯体1にKBHEt_3を2倍等量反応させると[(ONO)Ti(μ-H)]^<2->_2(4)が得られた。反応過程で、ヒドリド試薬は一部、還元剤として作用しており、チタン中心はIV価からIII価へと還元されている。ヒドリド2核錯体4は、III価錯体2にKBHEt_3を作用させても合成することが可能である。X線構造解析より、錯体4では、チタン(III)の[ONO]Tiフラグメントの2つが2個のヒドリド配位子で架橋した2核構造を持つことが明らかになった。構造中心のTi_2H_2骨格はバタフライ構造を示しており、金属間距離は2.7275(13)Åと短く、金属間結合が存在すると考えられる。このことは、ヒドリド錯体4が反磁性であることと一致している。
|
Research Products
(4 results)