2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体|溶液界面の電位制御を基軸とする新しい分離分析法の基盤構築
Project/Area Number |
21245021
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10372567)
北隅 優希 京都大学, 工学研究科, 助教 (00579302)
|
Keywords | イオン液体 / 液液2相系 / 相界面電位差 / 電気分析化学 / 界面 / pH / 単独イオン活量 / 緩慢緩和 |
Research Abstract |
今年度は以下の3つの課題を設定した。その成果を要約する。 【疎水性イオンと広い電位窓を有する疎水性イオン液体の合成】TrioctylbutylammoniumおよびTrioctylmethoxyethylammoniumのtetrakis [3,5-bis [trifluoromethyl) phenyl] borate塩はいずれも融点は25℃以下のイオン液体である。これらは、水との間に800mV以上の広い分極電位窓を形成する超疎水性イオン液体の中で、常温で液体であるものとしては初めてのものである。また、アンモニウムはフォスフォニウムよりアルカリ条件下でより安定である事から、これらイオン液体によって、超疎水性イオン液体の分析化学への応用が飛躍的に発展するものと期待される。 【緩慢緩和の定量的検討】イオン液体電気二重層の超緩慢緩和を、イオン液体|白金電極界面(IL|Pt)およびイオン液体|金電極界面(IL|Au)について詳しく検討した。IL|Ptでは、充電電流の時間依存性を線形電位掃引ボルタンメトリーおよび電位ステップ電流計測により詳細に検討し、時定数0.5秒程度の遅い電気二重層緩和がtrioctylmethylammonium bis (trifluoromethanesulfonyl) amideおよびそれより、粘性がほぼ二桁低い1-Ethyl-3-methylimidazolium bis (trifluoromethanesulfonyl) amideでも確認された。これは、イオン液体電気二重層の超緩慢緩和がイオン液体の粘性とは無関係であることを示す。IL|Auの表面プラズモン共鳴をもちいた研究から、より遅い時間オーダーの緩和が確認された。 【イオン液体塩橋を用いる単独イオン活量決定】中程度疎水性イオン液体であるtributylmethoxyethyl-phosphonium bis (pentafluoroethanesulfonyl) amideをイオン液体塩橋に用いたポテンショメトリーにより、これまで0.05以上の確度で測定出来なかった希薄硫酸水溶液のpHを±0.01以上の確度で測定出来ることを示した。また、H+とCl-の単独イオン活量を独立に測定し、それらから求めたHC1の平均活量が熱力学的に測定された値と一致することを見いだした。
|
Research Products
(18 results)