2009 Fiscal Year Annual Research Report
隣接基関与に基づくカルボニル化ならびにカルボキシル化触媒の開発
Project/Area Number |
21245023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60222197)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 隣接機能部位 / 重合触媒 / 二酸化炭素 / ステレオグラジエントボリマー |
Research Abstract |
本研究は、目的の反応の進行を触媒する遷移金属錯体部位(以下、触媒作用部位とよぶ)に対し、その近傍に位置し、基質と相互作用することにより反応の効率や選択性向上などの機能を担う官能基(以下、隣接機能部位とよぶ)を同一分子内に配置させることで、既存の単核金属触媒系では達成できない高効率かつ高選択的な触媒反応を達成することを目的とした。特に二酸化炭素や一酸化炭素を原料とする遷移金属触媒反応に焦点を絞り、研究を進めた。二酸化炭素の利用についてはエポキシドとの交互共重合を選び、重合反応を触媒する錯体の土台として金属-サレン錯体を選択し、金属としては、コバルト、クロムを中心に検討した。まず、隣接機能部位として、申請者らが先行研究でもちいたアンモニウム塩に代えて、ホウ素に代表されるルイス酸を配置した。重合反応の成長末端であるアニオンが、重合活性金属から解離しても、ルイス酸金属に捕捉されアート錯体を形成することを期待したが、触媒の活性の向上は見られなかった。クラウンエーテルによるカチオンの捕捉も検討したが、顕著な活性向上には至らなかった。一方で、当初は中心金属近傍に配置すべきと考えていた隣接機能部位としてのアンモニウム基が、配位子上の離れた位置にあっても機能することを発見した。こうして置換位置を工夫することにより、プロピレンオキシドと二酸化炭素の共重合においてステレオグラジエントポリマーの合成に成功した。
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