2009 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素を用いる炭化水素類の触媒的カルボキシル化反応
Project/Area Number |
21245024
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | アリールホウ酸エステル / カルボキシル化反応 / ロジウム(I)触媒 / 銅(I)触媒 / PSiPピンサー型パラジウム錯体 / ヒドロカルボキシル化反応 |
Research Abstract |
我々はすでに、ロジウム(I)あるいは銅(I)触媒を用いることにより二酸化炭素雰囲気下アリールホウ酸エステルのカルボキシル化反応が進行することを見出している。今年度の研究ではまず、この反応を利用して芳香族化合物のワンポットカルボキシル化反応の開発を行った。すなわち芳香族化合物をイリジウム触媒とジボロンによりボリル化し、続けてヨウ化銅(I)、t-ブトキシカリウムを加えジメチルホルムアミド中、二酸化炭素雰囲気下で加熱することで、対応するカルボン酸が良好な収率で得られることを見出した。またロジウム(I)触媒を用いる反応についても反応機構の詳細な検討を行い、新たに高活性な触媒を創製することに成功した。また我々は、PSiPピンサー型パラジウム錯体を触媒とすることで、1気圧の二酸化炭素雰囲気下、アレンのヒドロカルボキシル化反応が進行することをすでに報告している。今年度の研究ではこの反応の反応機構について詳細な検討を行い、本反応の活性中間体であるパラジウム(II)ヒドリド種と0価パラジウムにシランのケイ素-水素結合が配位した錯体との間に早い平衡が存在すること、またこれがアレンと反応して生じるアリルパラジウム(II)中間体とここから還元的脱離が進行して生じるアリルシラン中間体との間にも平衡が存在することを明らかにした。さらに基質としてアレンに換え、より入手容易な1,3-ジエン類を用いても高効率的にヒドロカルボキシル化反応が進行しβ、γ-不飽和カルボン酸を与えることを見出した。
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