2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロニッケラサイクルを経由する水素移動型炭素-炭素結合形成反応
Project/Area Number |
21245028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30252589)
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Keywords | ニッケル / 酸化的環化 / アルミニウム / 触媒反応 / 有機金属 |
Research Abstract |
本研究では、酸化的環化を鍵過程とし水素の移動を伴いながら新しい炭素-炭素結合ができる反応の開発を目的とした。平成21年度は、ヘテロニッケラサイクルを鍵中間体とする単純アルケンの直接共役付加の実現を目指し研究を行ってきた。鍵となる量論反応は既に準備段階において、分子内反応ではあるものの実際に進行することを確かめていた。これを足がかりに、研究の展開を行った。本量論反応を、触媒反応へと展開するにあたり分子内反応での検討を行った。目的とする反応は、高収率で進行するものの非常に高い反応温度を必要とした。これは、酸化的環化を進行させるために必要なη^2:η^2-型の反応中間体が安定すぎるためであると考え、分子間反応での検討を行った。この際には、シリンジポンプを使用し時間をかけてエノンを滴下する必要があったものの目的とする反応を高効率で進行させることに成功した。特に、2-プロペニルフェニルケトンとスチレン類との反応は非常に収率がよく、71-99%の収率で目的とする化合物を与えた。しかし、3-ペンテン-2-オンを用いた場合には、反応時間が長くなり、収率の低下も観測された。これは、酸化的環化に必要なニッケルからの電子の流れ込みが減少する為であると考えている。同様に、2-プロペニルフェニルケトンと1-オクテンや1-デセンとの反応においても反応時間が長くなり、収率の低下も観測された。これは、1-オクテンや1-デセンの配位力が2-プロペニルフェニルケトンに比べて非常に弱いため、エノンと同時にニッケルに配位出来ないためであると考えられる。現時点では、適用できる基質に制限があるものの本反応は、アルケンの炭素-水素結合がエノンへと共役付加する原子変換効率100%の反応であり、またビニル基を共役付加させるのにビニルメタルを必要としない画期的な反応である。
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Research Products
(10 results)