2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21245031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻井 敬亘 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (00217308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00335217)
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 助教 (20335219)
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Keywords | トライボマテリアル / ポリマーブラシ / リビングラジカル重合 / 階層構造 / ソフトマテリアル / 高圧重合 / ボトルブラシ |
Research Abstract |
本研究では、濃厚ブラシ効果に基づく優れた機能を巧みに組み込んだ新規ソフト&ウェットトライボマテリアルの構築を目指している。本年度は、厚膜ポリマーブラシおよび各ビルディングブロックの合成ルートを検討し、以下の成果を得た。 (1)厚膜濃厚ポリマーブラシの合成:高圧下での原子移動ラジカル重合(ATRP)法を表面グラフト重合に適用し、ミクロンオーダーの膜厚を有する濃厚ポリマーブラシの合成に成功した。グラフト密度の向上には、重合制御に加え、重合条件の最適化(活性化・不活性化頻度)が重要であることを見出した。グラフト(ポリマーブラシ)層の膜厚の増大により、濃厚ブラシの構造・物性における新規性を生かした用途の範囲拡大が期待される。 (2)各種ビルディングユニットの合成-(非共役)水酸基の直接的利用(重合開始):水酸基(RO-H)を、N-ヨウ化コハク酸イミド(NIS)を用いてそのヨウ化物(RO-I)に変換し、RO-Iへのモノマー(M)の挿入を利用した新しい重合開始剤の開発(RO-M-Iの合成)に成功した。現在、セルロースナノファイバーの表面水酸基への適用を検討中である。 (3)ソフトマテリアル(ゲル)への濃厚ブラシ付与:poly(2-(2-bromoisobutyryloxy)ethylmethacrylate)を多官能性開始剤として、ATRP法により、構造の明確なポリスチレン型ボトルブラシを合成するとともに、末端基間架橋によるボトルブラシ型ゲルの創製に成功した。 (4)構造解析・物性評価:合成した階層化ソフトマテリアルの摩擦、摩耗、潤滑特性を精密に評価するために、新規にトライボメータを導入し、接触表面状態の可視化を行えるように改良を施した。
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