2009 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレート液晶相の本質の理解、新規相の探索、デバイス材料への応用
Project/Area Number |
21245037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 裕嗣 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 博紀 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (50432951)
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Keywords | 液晶 / フラストレーション / ブルー相 / 電気光学デバイス / 表示素子 |
Research Abstract |
キラルネマチック相と等方相の間で発現することのある液晶相であるブルー相(BP)の構造は、高分子により幅広い温度範囲で安定に保持でき(高分子安定化ブルー相(PSBP))、高速電気光学材料としての応用が期待されている。PSBPは低分子液晶中に存在する重合性モノマー材料を、系全体がBPを示す温度において重合することで得られ、重合によって得られる高分子凝集構造は、低分子液晶ブルー相が有する格子構造を反映した秩序構造を有することが知られる。本研究では、重合性モノマーとして、アクリレート系およびメタクリレート系モノマーを選択し、共重合反応性の違いが高分子凝集構造に及ぼす影響について検討した。また、光照射の波長が高分子凝集構造や電気光学特性に与える影響についても検討した。 異なる重合基の組み合わせのモノマー組成物を含む液晶/モノマー混合物に、ブルー相状態で紫外光を照射した際の貯蔵弾性率G'の時間変化を測定した結果、G'の上昇が開始する時間(ゲル化時間)および到達するG'の飽和値は、重合基の組み合わせによって顕著に異なることが明らかとなった。ゲル化時間の順列は、重合基組み合わせによる共重合反応性比から予測される結果とよく一致した。また、G'の飽和値が異なることから、形成される高分子凝集構造が異なっていることが示唆された。小角X線散乱測定より、小角側に観察されるランダムな高分子凝集構造に由来する散乱が重合基の組み合わせによって顕著に異なり、その強度は動的粘弾性測定におけるゲル化時間の順列に強く依存した。すなわちゲル化時間の早い重合基組み合わせの試料ほど、小角側の散乱が強く観察され、よりランダムな高分子ネットワークが多く存在していることが明らかとなった。以上の結果、PSBP中の高分子凝集構造は、モノマーの共重合反応性により決定される重合動力学に強く依存することが明らかとなった。
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