2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレート液晶相の本質の理解、新規相の探索、デバイス材料への応用
Project/Area Number |
21245037
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 裕嗣 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 博紀 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (50432951)
|
Keywords | 液晶 / フラストレーション / ブルー相 / 電気光学デバイス / 表示素子 |
Research Abstract |
複数の安定構造が拮抗するフラストレーションが物質内に生じると、構造や物性に劇的な変化が起こる。液晶中にフラストレーションが生じたフラストレート液晶相は、光学波長オーダー(数100nm)に及ぶ長周期秩序構造、三次元階層構造、高速電気光学効果、チューナブル三次元フォトニックバンドなど、あらゆる物質の中でも類を見ない極めて特異な構造・物性と電気光学デバイス材料として魅力的な特性を有している。本申請では、新しい視点に立ちこれまでと異なる切り口により、フラストレート液晶相の発現メカニズムを理解するとともにその特異な秩序構造を支配する化学的・物理的パラメータを明らかにする。さらに、新規フラストレート相の探索、フラストレート液晶相のユニークな特徴を活かした電気光学デバイスへの応用展開を行う。H23年度は、代表的なフラストレート相であるブルー相の電気光学効果の基盤的研究に注力した。ブルー相の主な物性は、ブルー相の格子定数を決める螺旋ピッチに支配される。そこで、ブルー相のKerr係数や応答時間の螺旋ピッチ依存性を詳細に検討した。理論によればKerr係数も応答時間も螺旋ピッチの2乗に比例することが導かれる。しかしながら本研究では、Kerr係数はらせんピッチの約3乗に比例することが見出された。応答時間については電場強度によって異なる挙動を示したため、その構造変化の違いによって局所的ダイレクターの再配向とブルー相の格子構造が電場によって変形する電気歪みの2つの領域に分けて測定を行った。その結果、局所的ダイレクターの再配向の応答時間はらせんピッチの約0.5乗、電気歪みの応答時間はらせんピッチの約3乗に比例することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度に査読付き論文7報が出版されるなど、研究目的の対して概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度となるが、予定通り研究を遂行する予定である。
|