2009 Fiscal Year Annual Research Report
共有結合性界面を有した高性能高分子系有機EL素子の創製
Project/Area Number |
21245044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶 弘典 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (30263148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 准教授 (20335219)
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Keywords | 有機EL / 高分子EL / 表面グラフト / リビングラジカル / 界面 |
Research Abstract |
本基盤研究では、表面グラフト重合により透明電極上に高分子をほぼ垂直に成長させ、すべての電荷輸送、発光性官能基が共有結合で透明電極に繋がった新たな高分子系有機EL素子の創製に挑む。この素子では、透明電極であるITO基板上に重合開始剤を結合させ、その開始剤から高分子を成長させる。そのため、ITO電極と高分子鎖を繋ぐ重合開始剤の電荷注入への影響を明らかにすることは、重要である。このような観点から、当該年度は、特に、ITO基板上に固定化された重合開始剤の正孔注入特性に関する検討を行った。固定化開始剤のモデルとしてトリエトキシシラン誘導体を用いてホールオンリーデバイスを作製し、ホール注入特性の比較を行った。開始剤には、各種トリエトキシシラン誘導体RSi(OEt)_3(R=CH_3,C_2H_5,C_5H_,C_8H_,またはPh)を用いた。NH_3 aq.を含むTHF溶液に、UV/O_3処理を施したITO基板を浸漬することにより、トリエトキシシラン誘導体をITO基板表面に結合させた。その後、正孔輸送材料NPDを、次に、陰極としてAlを成膜した素子を作製した(素子構造:ITO(-O-)_3Si-R/NPD 100nm/Al 120nm)。またUV/O_3処理のみを施した基板に対しても、同様の条件でNPD、Alを蒸着した素子を作製した。得られた素子に対して一度12Vまでの電圧を印加し、素子を安定化させた後、電流密度-電圧特性評価を行った。その結果、正孔注入性が-CH_3の順に良くなることがわかった。すなわち、適切なアルキル鎖長を有する開始剤を選択することにより、従来のUV/O_3処理のみを行った素子よりも特性が向上することが明らかとなった。以上の知見に基づき、今後、上述の新たな高分子系有機EL素子の創製を進める。
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Research Products
(18 results)