2011 Fiscal Year Annual Research Report
共有結合性界面を有した高性能高分子系有機EL素子の創製
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21245044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶 弘典 京都大学, 化学研究所, 教授 (30263148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 准教授 (20335219)
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Keywords | 有機EL / 高分子EL / 表面グラフト / リビングラジカル / 界面 |
Research Abstract |
本研究では、電極表面からの表面開始リビングラジカル重合を利用し、すべての電荷輸送性・発光性官能基が共有結合で透明電極に繋がった新たな有機EL素子の創製に取り組んでいる。昨年度までは、発光層のみからなる単層型素子を作製してきた。本年度は、三元ブロック共重合により、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の三層構造からなる素子を作製し、その特性評価(電流密度-電圧-輝度の測定)を行った。その結果、正孔輸送層の導入により、電流密度-電圧特性を向上させることができた。陽極からの正孔の注入性が向上したためと考えられる。さらに、電子輸送層の導入により、輝度が向上した。電子輸送層が正孔ブロック層としても機能し、正孔が発光層に閉じ込められ、電荷(正孔と電子)の再結合が発光層で効率的に生じたためと考えられる。このように、高分子系有機EL素子においても、三層構造化による素子特性への効果が認められた。ただ、得られた素子特性はまだ有機EL素子として初歩的であったため、今後、階層構造の最適化などによる素子特性の向上を検討する。また、本年度は、有機触媒を用いた金属フリーリビングラジカル重合基礎技術の確立を進めた。有機触媒として、新たに、四級アンモニウム塩や四級ホスホニウム塩などの有機塩が、特に高活性の触媒として働くことを見いだし、従前の有機触媒では難しかった高分子量体の合成などが溶液系でなされた。高分子量化は、今後の表面開始重合への適用において、高分子層の厚膜化に寄与しうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画はおおむね一通り着手することができ、主な検討事項であった、単層型素子の作製から三層型素子の作製へも研究が進捗した。最終年度の来年度は、素子特性の向上を検討する段階となり、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
素子特性の向上を検討する。三層型素子では、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層の膜厚を最適化するなどして、素子特性の向上を図る。表面グラフト重合においては、明確な界面を有する素子のみでなく、仕込むモノマーの組成を徐々に変化させることによって組成を傾斜させた素子も創製しうる。素子のHOMO,LUMOをスムースに変化させることが可能と考えられ、組成傾斜素子の作製による特性向上も試みる。
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Research Products
(13 results)