2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21246002
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岸野 克巳 上智大学, 理工学部, 教授 (90134824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 一郎 上智大学, 理工学部, 准教授 (00266074)
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Keywords | 活性層 / 超格子 / 成長中断 / InP基板 / フォトルミネッセンス / 黄色発光 / タイプIIヘテロバリア / レーザ |
Research Abstract |
(1) BeZnTe/ZnSeTe超格子活性層を提案した。BeZnTe/ZnSeTe超格子を用いることで、従来活性層とバリア層の成長において必須であった成長中断を大幅に削減でき、結晶性やデバイス特性の向上が見込まれる。ここでは先ずBeZnTe/ZnSeTe超格子をInP基板上に作製し評価した。BeZnTe層を1分子層、ZnSeTe層を9分子層とした超格子において室温フォトルミネッセンス(PL)測定を行ったところ中心波長579nmの黄色発光が観測された。また、従来のBeZnSeTe層の場合と比べ約4.4倍の発光強度が得られ、活性層として優れた発光特性を有していることが分かった。 (2) MgSe/ZnCdSe超格子nクラッド層とバリア層間のタイプIIヘテロバリアを抑制するためのMgSe/ZnCdSe超格子グレーデッド構造を改良した。グレーデッド構造全体の層厚を増加させることで階段状のエネルギーバンドの傾斜を緩やかにして電子の注入効率の向上を目指した。改良したグレーデッド構造を用いて発光素子を作製し、特性を評価した。活性層は(1)で述べたBeZnTe/ZnSeTe超格子、nクラッド層はMgSe/ZnCdSe超格子、pクラッド層はMgSe/BeZnTe超格子とした。電流注入により評価したところ波長584nmにおいて良好な黄色発光が得られた。これはグレーデッド構造の改良による電子注入効率の改善と超格子活性層を用いた効果によると考えられ、レーザ発振に向けた特性向上が得られた。 (3) レーザのストライプ構造について検討した。酸化インジウムスズをストライプ状に施すことで電流狭窄と横方向光閉じ込めが可能な新たな構造を提案し、導波路解析により検討した。この構造により横モード制御が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BeZnTe/ZnSeTe超格子による活性層の特性向上や、MgSe/ZnCdSe超格子グレーデッド構造の改良によるn側電子注入効率の改善により高輝度な黄色発光素子の作製に成功した。これらは緑色レーザを実現するための基盤技術の一つであり、レーザ発振に向け着実に進歩している。
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Strategy for Future Research Activity |
緑色レーザの基盤技術開拓に向けて、これまで通り BeZnTe/ZnSeTe 超格子活性層の特性向上と MgSe/ZnCdSe 超格子グレーデッド構造の改良を進めていく。超格子活性層の構造や作製条件を最適化し、高性能化を目指すと同時に他の発光波長域への可能性を探索する。グレーデッド構造の様々なパターンについて検討し最適化を進める。更に、p クラッド層の低抵抗化や当該材料系に適したストライプ構造について検討し、また素子寿命特性について評価する等、実用化も視野に入れて研究を進める。
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Research Products
(1 results)