2011 Fiscal Year Annual Research Report
省エネルギーパワーデバイス用SiC基板の高能率加工方法
Project/Area Number |
21246027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 泰久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40252598)
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Keywords | SiC / 薄化 / ダイシング / 大気圧プラズマ / PCVM |
Research Abstract |
炭化ケイ素(SiC)は今最も注目を集めている半導体材料の一つである。SiC基板に作製したパワーデバイスは、現状のシリコンを基板としたものよりも内部損失を桁違いに低減可能であることから、限られたエネルギを有効に活用することのできる省エネルギーパワーデバイスとして様々な応用が期待されている。しかしながら、SiCはダイアモンドに次ぐ硬度のため、従来の研削や研磨といった機械的加工方法では高能率な加工が困難であり、実用化の一つの障壁になっている。本研究課題では特にデバイス形成後に行われるSiCウエハの薄化とダイシングをターゲットとし、これらを、大気圧プラズマを用いた高能率プラズマエッチングであるPCVM(Plasma Chemical Vaporization Machining)に置き換え高能率・高品質な加工を実現することを目的としている。 今年度は、ウエハ全面薄化条件の検討として、大電力を投入する実験に際して問題となっていた整合回路の改良を行い、大電力の安定供給が可能となった。大電力の投入によってプラズマがアーク放電に移行する現象がしばしば発生したため、これまで用いていたアルミニウム製平板多孔電極を改良し、アルミナを溶射した新構造の電極を考案・製作した。これらの検討によってプラズマに大電力を安定に投入することが可能になり、今後、ウエハレベルでの加工速度の向上を目指して行く。 また、ダイシングに関する基礎検討として、プラズマ領域を物理的に制限するマスクを設けて発生させた細いプラズマを用いると、深さ方向の加工速度が幅方向の加工速度に比べて高速であったが、プラズマ発光強度分布を計測した結果、マスク下のプラズマは電極直下のプラズマに比べて発光強度が弱いことがその原因であることが分かった。マスク材料の最適化等によって、さらに幅方向の加工速度を抑え、狭い溝幅を実現できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウエハ薄化に関しては、加工速度向上のための大電力投入実験に際して問題が生じたため、ウエハレベル薄化実験の一部の検討が見実施である一方で、ダイシングに関してはワイヤー電極よりも高加工速度・狭加工幅が実現可能なプラズマ発生領域制限マスクを用いた新しい方法を考案でき大きな進展があったため、全体としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウエハ薄化に関して、加工速度向上のための大電力投入実験に際して問題が生じたが、年度内にその対策をほぼ完了しており、今後は当初計画通り、ウエハレベルでの加工条件を検討し、実用加工速度・加工精度の実現を目指す。またダイシングに関しては、当初計画していたワイヤー電極よりも優れた加工特性を有するプラズマ発生領域制限マスクを用いた新しい方法に移行するため、マルチワイヤーを用いた実験等は複数のマスクを用いた実験を行うものへと変更し、当初目的であるウエハレベルでのダイシング加工の実現を目指す。
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Research Products
(9 results)